こんにちは、早起きラガードです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
なお、先に結論を言ってしまうと、オリジナル10=名門というわけではありません。
オリジナル10であっても名門でないクラブは存在しますし、オリジナル10でなくても名門クラブは存在しています。
詳しくご紹介していきます。
どんなクラブが名門?
まず、言葉の定義をはっきりさせておきましょう。
「名門」という言葉を辞書で調べると、
由緒のある家柄。名家。また、有名な学校・団体など。(出典:goo辞書)
とあります。
すなわち、「名門クラブ」とは「由緒のあるクラブ」と言いかえることができます。
由緒とは
次に、「由緒」という言葉を同じように辞書で引いてみると、
- 物事の起こり。また、今に至るまでのいきさつ。いわれ。
- 現在に至るまでのりっぱな歴史。来歴。
出典:goo辞書
とあります。
今回の場合、当てはまるのは2「現在に至るまでのりっぱな歴史」ということになるでしょう。
すまわち、名門クラブとは、
現在に至るまでのりっぱな歴史を持ったクラブ
のことになります。
クラブの「りっぱな」歴史【名門の条件】
次に明らかにしておきたいのは、ここですね。
長い、短いの違いはあれど、どんなクラブにも歴史はあります。
ただ、すべてのクラブの歴史が「りっぱ」というわけにはいきません。
りっぱな歴史もあれば、それほどでもない歴史も当然あります。
では、どんな条件をクリアしていれば、「りっぱな歴史」と呼べるのでしょうか。
名門の、2つの条件
本記事では、次の2つを「りっぱな歴史」の条件とします。
- 1部リーグ在籍年数:80%以上
- 通算獲得タイトル数:2桁
1部リーグ在籍年数:80%以上
「りっぱな歴史」の条件として、まずは最上位リーグ(1部リーグ)で長く戦っていることが挙げられるでしょう。
1部と2部を行ったり来たりしていたり、2部リーグ在籍期間の方が長いようでは「りっぱ」とは言い難いですからね。
そこで条件の1つ目を、「1部リーグ在籍年数が、全体の80%以上」としました。
※もっと高い数値を基準にすることとも考えたのですが、それだとほとんどのクラブが対象外となってしまうので、80%を一つの基準に置いています。
通算獲得タイトル数:2桁
条件の2つ目は、「通算獲得タイトル数:2桁」。
長く1部リーグに在籍していれば、それだけで「りっぱな」歴史になるかというとそんなことはありません。
Jリーグは、プロサッカーのリーグ(正式名称は「日本プロサッカーリーグ」です)。
プロである以上、結果が求められます。
プロサッカークラブの結果と言えば、やはりタイトル獲得数でしょう。
それも「りっぱな」歴史というからには、以下の主要タイトルの通算獲得数を、2桁に乗せておきたいところです。
- JSL1部
- JSLカップ
- 天皇杯
- J1リーグ
- Jリーグカップ(現:ルヴァン杯)
- アジアクラブ選手権
- AFCチャンピオンズリーグ
というわけで、名門」のもう1つの条件は、「タイトル獲得数2桁」としました。
条件1、条件2両方を満たしたクラブが、「Jリーグの名門クラブ」になります。
日本サッカーリーグ(JSL)時代の実績も含める?
ここまでのところで、「名門の条件」について明らかにしてきました。
ここでもう1つ決めておきたいのが、日本サッカーリーグ(JSL)時代の実績もこの条件に含めるかどうかです。
JSLとは、Jリーグの前身となったリーグのことです。
Jリーグ開幕前の1965年~1992年まで、日本のサッカーリーグと言えばこのJSLのことでした。
Jリーグに所属しているクラブの中には、JSL時代から参加しているクラブも多数存在しています。
※ちなみに「オリジナル10」のうち、8クラブが元JSL1部、1クラブが元JSL2部のクラブです。
このあたりのことは、「Jリーグの「オリジナル10」って何? 前身の「日本サッカーリーグ」との関係も紹介します。」でも書いています。
- JSLを含める → 1965年から
- Jリーグ以降 → 1992年から
となりますが、本記事では「JSLを含める」方を採用します。
理由はシンプルで、歴史の重みは、期間が長いほど増すからです。
10年の歴史と、60年の歴史。どちらに「重み」を感じるかは、明白ですよね?
「名門」の条件を満たすJリーグのクラブ
というわけで、「名門」クラブの条件が明らかとなりました。
- 1部リーグ在籍年数 :80%以上
- 通算獲得タイトル数:2桁
- 期間:JSL開幕以降(1965年~)
ここからは、各条件を満たすクラブを見ていきます。
名門の条件1:1部リーグ在籍年数80%以上
1965年から2020年までの間に開催されたJSLとJリーグは、全部で55シーズン。
このうちの80%以上なので、通算44シーズン以上1部リーグに在籍していたクラブが対象です(前身となったクラブの実績含む)。
該当するのは、次の5クラブ。
1部リーグ在籍44シーズン以上
クラブ | 在籍年数 |
浦和レッズ | 53 |
サンフレッチェ広島 | 48 |
柏レイソル | 47 |
セレッソ大阪 | 46 |
ジェフユナイテッド市原・千葉 | 44 |
この5クラブは、いずれもJSLが創設されたときの参加クラブです(正確には、前身となったクラブが参加)。
(JSLは、1965年に8クラブでスタートしました。Jリーグ風に言うと、JSLの「オリジナル8」になります)。
ただ、それがそのままJリーグの「オリジナル10」にも該当するかというと、そうはいきません。
Jリーグの「オリジナル10」に該当するのは、
- 浦和
- 広島
- 柏
の3クラブのみ。
柏とC大阪は、オリジナル10からは漏れています。
1部リーグ在籍年数5位の千葉
千葉は、最近サッカーを見始めた人はちょっと違和感があるかもしれません。
「Jリーグの「オリジナル10」って何? 前身の「J2降格経験のないオリジナル10のクラブは? J2、J3の「オリジナル」についても紹介します」でも紹介しましたが、千葉は2010年以降、もう10年以上J2で戦い続けていますからね。
それでもまだ、千葉が、ギリギリ1部リーグ在籍年数80%をクリアできているのは、JSL時代の貯金があるからです。
というのも、ジェフユナイテッド市原・千葉は、その前身となった古河電気工業サッカー部が、JSL時代、JSL2部の経験がない唯一のクラブだったのです。
古河電気工業(ジェフ千葉)は既に書いた通り、JSL創立時からの参加クラブです。
すなわち、古河電気工業(ジェフ千葉)はJSLが始まってから終了するまで、ずっと1部だけで戦い続けていたということになります。
これは、なかなか凄い実績です。
ただ、現在の状態がこれ以上続くと厳しいですね。
いずれ条件を満たすことができなくなり、単なる古豪になってしまうかもしれません。
名門の条件2:通算獲得タイトル数2桁
通算獲得タイトル数が2桁に達しているのは、次の8クラブ。
通算獲得タイトル数2桁のクラブ
クラブ | 獲得タイトル数 |
鹿島アントラーズ | 20 |
東京ヴェルディ1969 | 19 |
浦和レッズ | 18 |
横浜F・マリノス | 17 |
セレッソ大阪 | 12 |
ジェフユナイテッド市原・千葉 | 12 |
サンフレッチェ広島 | 11 |
ガンバ大阪 | 10 |
ここに挙げたクラブのほとんどが、JSL時代により多くのタイトルを獲得しています。
例外は、鹿島アントラーズとガンバ大阪。
鹿島は何と、全タイトルをJリーグ開幕以降に獲得しています。
Jリーグ開幕前と後で、大きく状況が変わったクラブと言えるでしょう。
ガンバ大阪も、JSL時代のタイトルは、1990年の天皇杯のみ(正確には、前身となった松下電器産業サッカー部のタイトルです)。
Jリーグ開幕以降、ACLを含む9つのタイトルを獲得しました。
条件1と2を、2つとも満たす名門クラブ
条件1と2、それぞれを満たすクラブは、ここまでで出そろいました。
この両方を満たすクラブ、すなわち両方に名前が出てきたクラブが、「Jリーグの名門」ということになります。
具体的には、以下の4クラブです。
- 浦和レッズ
- サンフレッチェ広島
- セレッソ大阪
- ジェフユナイテッド市原・千葉
鹿島、東京V、横浜FMといった、タイトル獲得数で上位にランクしていたクラブは、「条件1:1部リーグ在籍年数80%以上」の方がクリアできずに、名門の枠から外れました。
この3クラブについては、JSL1部昇格の時期が遅かったことが影響しています。
JSL1部初昇格年
クラブ | JSL初昇格 |
読売クラブ(東京Vの前身) | 1977年 |
日産自動車(横浜FMの前身) | 1979年 |
住友金属(鹿島の前身) | 1987年 |
この3クラブは、Jリーグのオリジナル10なんですけどね。
それでも、JSL時代も期間に含めると、どうしてもJSLでの後発クラブは不利になってしまいます。
※なお、東京Vについては、J2歴も長いので必ずしもJSL時代だけが影響しているわけではありません。
まとめ:Jリーグの名門
本記事では、以下の条件からJリーグの名門を紹介しました。
- 1部リーグ在籍年数 :80%以上
- 通算獲得タイトル数:2桁
- 期間:JSL開幕以降(1965年~)
条件を満たしていたのは、以下の4クラブ。
Jリーグの名門
- 浦和レッズ
- サンフレッチェ広島
- セレッソ大阪
- ジェフユナイテッド市原・千葉
この中で、Jリーグのオリジナル10に該当するのは、
- 浦和レッズ
- サンフレッチェ広島
- ジェフユナイテッド市原・千葉
の3クラブで、セレッソ大阪はオリジナル10ではありません。
一方、現存するオリジナル10の9クラブのうち、6クラブは名門クラブの条件を満たしていませんでした。
このことから、「オリジナル10=名門」というわけではなく、「オリジナル10でない=名門でない」というわけでもない、ということがおわかりいただけるかと思います。
ただ、これについては期間にJSL時代を含めていることが大きく影響しています。
JSL時代を除いた期間での名門については、「Jリーグ開幕以降に限定すると、名門クラブはこうなります。」でご紹介しています。
本記事で取り上げたクラブとはまた違ったところが「名門」となっておりますので(一部、重なっているクラブもあります)、興味のある方は、ご覧になってみてください。
今回は、以上です。