こんにちは、早起きラガードです。
J1昇格を果たしたクラブのうち、3つに1つは1年でJ2に送り返されていることを、以下の記事で紹介しました。
今回は、これをもう少し広げて、
という疑問について、お答えします。
なお、先に結論を言ってしまうと、
- 半数のクラブが、初昇格から5年以内にJ2に降格している
- 2度目、3度目の昇格でも、5年以内に降格するクラブがほとんど
となっています。
J1に初めて昇格したクラブは、何年生き残ることができているか?
初昇格から降格までの年数をシンプルにカウントした場合
2019年時点で、J1経験があるのは全部で31クラブ。
この31クラブが、初昇格から何年間、J1リーグに留まることができていたかは、次の通りとなります。
※開幕当初からJリーグ(当時はJ1リーグという呼び方はなく、ただの「Jリーグ」がJ1リーグのことでした)に参加していたオリジナル10については、1993年の開幕初年度を「昇格1年目」としてカウントしています。
順位 | 在籍年数 | クラブ名 |
1位 | 27年 | 鹿島※、横浜FM※ |
3位 | 24年 | 名古屋 |
4位 | 23年 | 清水 |
5位 | 20年 | G大阪、磐田 |
7位 | 17年 | 千葉 |
8位 | 14年 | 新潟 |
9位 | 13年 | 東京V |
10位 | 11年 | 柏、FC東京 |
12位 | 10年 | 広島、大宮 |
14位 | 9年 | 神戸 |
15位 | 8年 | 鳥栖※ |
16位 | 7年 | 浦和、C大阪、大分 |
19位 | 6年 | 湘南、福岡、横浜F |
22位 | 5年 | 京都 |
23位 | 3年 | 山形 |
24位 | 2年 | 仙台、甲府 |
25位 | 1年 | 札幌、川崎、横浜FC、徳島、松本、長崎 |
※鹿島、横浜FM、鳥栖は記録更新中。
最長は、オリジナル10の鹿島と横浜FM。
この2クラブは、Jリーグ開幕以来、一度もJ2に降格することなく、J1に留まり続けています。
初昇格、もしくは開幕から20年以上の在籍実績があるのは5クラブ。
磐田以外の4クラブはオリジナル10ですが、磐田も1994年の初昇格組なので、オリジナル10との差は1年しかありません
さすがにオリジナル10と、それに近い時期からのJ1経験のある磐田。
……と言いたいところですが、実はこれはあまりフェアな比較とは言えません。
というのも、Jリーグには1998年まで降格制度が存在しなかったからです。
降格制度導入以降の実績を対象とした場合
1997年までなら、たとえ最下位になったとしても降格させられることはなく、翌年も何事もなかったかのようにJ1リーグ(当時はJリーグ)に参加することができていました。
フェアではないと言っているのはこの点で、1997年以前にJ1参加経験のあるクラブは、98年以降に初昇格クラブと比較して若干有利なところがあります。
そこで改めて、1997年以前の実績を除いた、初昇格からのJ1連続残留年数を調べてみました。
※厳密には、降格制度が導入されたのは1999年からで、98年に行われたのはJ1のクラブ数調整のための参入決定戦でした。が、Jリーグで初めて降格クラブが発生したのが1998年であるため、ここでは便宜上「1998年から降格が始まった」としています。
順位 | 在籍年数 | クラブ名 |
1位 | 22年 | 鹿島※、横浜FM※ |
3位 | 19年 | 名古屋 |
4位 | 18年 | 清水 |
5位 | 16年 | 磐田 |
6位 | 15年 | G大阪 |
7位 | 14年 | 新潟 |
8位 | 12年 | 千葉 |
9位 | 11年 | FC東京 |
10位 | 10年 | 大宮 |
11位 | 8年 | 東京V、柏、神戸、鳥栖※ |
15位 | 7年 | 大分 |
16位 | 5年 | 広島 |
17位 | 4年 | C大阪、福岡 |
19位 | 3年 | 京都、山形 |
21位 | 2年 | 浦和、湘南、仙台、甲府 |
25位 | 1年 | 横浜F、札幌、川崎、横浜FC、徳島、松本、長崎 |
実はこれでも、上位の顔ぶれはほとんど変わりがありません。
G大阪が6位に後退したくらいで、上位5クラブはまったく同じ、
- 鹿島、横浜FM、名古屋、清水、磐田
となっています。
ただ、実のところここはあまり重要なところではありません。
半数のクラブが、昇格から5年以内にJ2に降格している
上の表で注目すべき点は、ここです。
J1経験があり、かつ現存している30クラブ(横浜フリューゲルスは1999年に消滅)のうち、ちょうど半数の15クラブが、J1初昇格(もしくは降格制度導入)から5年以内に降格しているのです。
1998年以降の昇格クラブで、初昇格から6年以上J1の座を維持し続けることができたのは、次の5クラブしかありません。
- 新潟
- FC東京
- 大宮
- 鳥栖
- 大分
J1定着が、いかに難しいかわかりますね。
5年以内に降格したクラブの、2度目のJ1挑戦は?
初昇格(もしくは降格制度導入)から5年以内にJ2に降格した15クラブのうち、2度目のJ1昇格に成功したのは12クラブ。
2度目の昇格時の実績は、次のようになっています。
順位 | 在籍年数 | クラブ名 |
1位 | 19年 | 浦和※ |
2位 | 15年 | 川崎※ |
3位 | 10年 | 仙台※ |
4位 | 4年 | 広島、C大阪 |
6位 | 2年 | 京都、札幌 |
8位 | 1年 | 湘南、福岡、山形、甲府、松本※ |
浦和、川崎、仙台のように、すっかりJ1に定着しているクラブがある一方で、2度目の挑戦でも5年以内にJ2に逆戻りしているクラブが、12クラブ中9クラブ、全体の75%も存在しています。
J1生き残りの戦いは、なかなかに厳しい。
では、3度目のJ1挑戦は?
2度目のJ1昇格でも、やっぱり5年以内にJ2降格となってしまった9クラブのうち、J1昇格に3度成功しているのは、7クラブ。
2度目のJ1昇格もそうでしたが、不死鳥のごとく舞い戻ってくる割合は決して低くはないですね。
この「3度目の正直」にチャレンジしたクラブの実績は、次の通りとなっています。
順位 | 在籍年数 | クラブ名 |
1位 | 11年 | 広島※ |
2位 | 5年 | C大阪、甲府 |
4位 | 1年 | 湘南、福岡、京都、札幌 |
J1定着に成功したのは、広島のみ。
あとの6クラブは、やっぱり5年以下でJ2に戻っています。
この6クラブのうち、甲府以外の5クラブは4度目のJ1昇格も成し遂げているのですが、C大阪以外は5年以内にJ2に降格していました。
昇格回数を重ねることが、必ずしもJ1定着につながるわけではないのです。
まとめ:J1は昇格すること以上に、定着することが難しい
- 半数のクラブが、初昇格から5年以内にJ2に降格している
- 2度目、3度目の昇格でも、5年以内に降格するクラブがほとんど
こうして改めて調べてみると、J1リーグは以下の2つのグループで構成されていることがわかります。
- 安定してJ1に在籍し続けているクラブ
- J1とJ2の間を行ったり来たりしているクラブ
第2グループに該当するのが、本記事で紹介したC大阪、福岡、京都、湘南、甲府、札幌など。
ここからいかに第1グループに移るかが、これらのクラブの課題になるでしょう。
J1リーグは、昇格するのが難しい。
しかしそれ以上に、定着するのが難しいリーグでもあるのです。
今回は、以上です。