こんにちは、早起きラガードです。
Jリーグは、降格制度がなかった時代から見ています。
現在、Jリーグには、「J1参入プレーオフ」という仕組みが導入されています。
これは、ざっくり言ってしまうと「翌年のJ1参加枠(1枠)を巡って、J1 16位のクラブとJ2の3位~6位のクラブが参加する、トーナメント方式の入れ替え戦」です。
J1の方が、上位のカテゴリですからね。
そう考えたくなるのは当然ですが、実際にはそうでもありません。
そこで今回は、現在実施されている「J1参入プレーオフ」も含めた、J1の座を賭けたJ1クラブとJ2クラブの戦いを、振り返ってみたいと思います。
- J1の座を賭けたプレーオフ方式の変遷
- J1クラブの成績は、4勝3敗1分
詳しく、見ていきます。
J1の座を賭けたプレーオフの歴史
J1の座を賭けた戦いは、昔からずっと「J1参入プレーオフ」だったわけではありません。
別の方式で行われていた時代もありますし、プレーオフを実施していなかった時代もあります。
そこでまずは、J1の座を賭けたプレーオフが、どのような歴史を辿って現在の姿に辿り着いたのかを紹介します。
具体的には、以下の4つの時代がありました。
- J1参入決定戦(1998)
- J1・J2入れ替え戦(2004~2008)
- J1昇格プレーオフ(2012~2017)
- J1参入プレーオフ(2018~)
プレーオフの歴史①:J1参入決定戦(1998年)
1998年に実施された「J1参入決定戦」は、J1の座を賭けた最も古いプレーオフです。
実施のきっかけは、Jリーグの2部制導入。
1999年から、それまで1部制だったJリーグがJ1とJ2の2部制になるのに合わせて、Jリーグ下位のクラブとJFL上位のクラブを、J1、J2に振り分けるために実施されました。
この方式が少し変わっていたのは、Jリーグから「J1参入決定戦」に参加するクラブの決め方です。
現在の「J1参入プレーオフ」も含めて、プレーオフ参加クラブは「当該年度(この場合は1998年)の成績だけで決める」のが普通なのですが、このときは前年度(1997年)の成績も加味して順位を決めるという方式が取られました。
これによって割を食ったのは、1998年にJリーグに昇格した札幌。
前年度の成績を、「ポイントなし」という扱いにされてしまったので、98年の成績だけなら免れていたはずの「J1参入決定戦」に出場する羽目になり、挙句J2参加側に振り分けられてしまいました(実質的な降格)
札幌も含め、「J1参入決定戦」に参加したのは、以下の5クラブ。
- 市原(現千葉、Jリーグ)
- 札幌(Jリーグ)
- 神戸(Jリーグ)
- 福岡(Jリーグ)
- 川崎(JFL)
この5クラブでJ1の座3つを賭けたトーナメント戦を行い、結果は以下の通りとなりました。
- J1参加:市原、神戸、福岡
- J2参加:札幌、川崎
下部リーグ(JFL)から唯一の参加となった川崎は敗退し、J2参加が決定。
J1のクラブ数を減らす関係で、Jリーグからの降格が発生しているものの、Jリーグと下部リーグとの間で、クラブの入れ替えは発生しませんでした。
Jリーグ(J1)と下部リーグとの争いとして見た場合、Jリーグ(J1)側の勝利と言っていいでしょう。
J1参入決定戦は、Jリーグ(J1)側が勝利
プレーオフの歴史②:J1・J2入れ替え戦(2004~2008年)
J1・J2入れ替え戦の概要
1998年のJ1参入決定戦の後、しばらくの間J1とJ2のクラブの入れ替えは自動昇格・降格のみで行われ、プレーオフは開催されませんでした。
次に行われたのは、2004年。
2005年からJ1リーグのクラブ数が増える(16クラブ→18クラブ)ことをきっかけに、J1・J2の入れ替え枠も増やすことが検討され、プレーオフの導入が決まりました。
その名も、J1・J2入れ替え戦。
シンプルで、わかりやすい名前ですね。何を目的として行われる試合なのか、ひと目でわかります。
方式もシンプルで、J2から4クラブも出場権が与えられる後のプレーオフとは違い、出場するのはJ1 16位のクラブとJ2 3位のクラブのみ。
この2クラブが直接ホーム・アンド・アウェーの2回戦制で対決し、雌雄を決するというものでした。
J1・J2入れ替え戦の結果
J1・J2入れ替え戦が開催されていたのは、2004年から2008年。
結果は次の通りとなりました。
年度 | J1 | J2 | 結果 |
2004 | 柏 | 福岡 | 柏が残留 (2戦合計4-0) |
2005 | 柏 | 甲府 | 甲府が昇格 (2戦合計8-3) |
2006 | 福岡 | 神戸 | 神戸が昇格 (2戦合計1-1、アウェーゴール1-0) |
2007 | 広島 | 京都 | 京都が昇格 (2戦合計2-1) |
2008 | 磐田 | 仙台 | 磐田が残留 (2戦合計3-2) |
過去5年間で、J1側の戦績は2勝3敗。
意外に思われるかもしれませんが、J1・J2入れ替え戦ではJ2の方が勝率が高いのです。
理由として、
- 失うものがあるJ1クラブの方が、プレッシャーがかかる
- カテゴリが違うとはいえ、下位に低迷していたクラブと上位に食い込んだクラブとでは、勢いやチームの状態に差がある
などを当時聞いた覚えがありますが、どちらも間違ってはいないのでしょう。
いずれにしても、「上位カテゴリだからJ1の方が有利」という考え方が、J1・J2入れ替え戦に当てはまっていないことは間違いありません。
J1・J2入れ替え戦は、J1の2勝3敗
プレーオフの歴史③:J1昇格プレーオフ(2012~2017年)
J1昇格プレーオフの概要
J1・J2入れ替え戦は2008年で終了となり、2009年から2011年までプレーオフは実施されませんでした(この間のレギュレーションは、J1下位3チームが自動降格、J2上位3チームが自動昇格)。
復活は、2012年。
J1昇格プレーオフという名称で、翌年のJ1昇格クラブを決定するためのプレーオフが始まりました。
このプレーオフへの出場権があるのは、J2 3位から6位のクラブ。
この4クラブが、残り1つのJ1の座を賭けて、トーナメントを戦います(J1昇格枠は全部で3つあり、2つは既にJ2 1位と2位に与えられている)。
なお、参加クラブから明らかなように、このプレーオフはJ1クラブとJ2クラブの入れ替え戦ではなく、あくまでJ2からの昇格クラブを決定するためのプレーオフでした。
したがって、J1クラブとJ2クラブの対戦は当然なく、勝敗もありません。
J1昇格プレーオフでは、J1とJ2の対戦はなかった
J1昇格プレーオフの結果
一応、結果を載せておきます。
- 2012年 大分(6位)
- 2013年 徳島(4位)
- 2014年 山形(6位)
- 2015年 福岡(3位)
- 2016年 C大阪(4位)
- 2017年 名古屋(3位)
※()内は、J2リーグの順位
プレーオフの歴史④:J1参入プレーオフ(2018年~)
J1参入プレーオフの概要
J1参入プレーオフは、J1昇格プレーオフに代わって、2018年から導入された仕組みです。
内容は、冒頭でも紹介した通り「翌年のJ1参加枠(1枠)を巡って、J1 16位のクラブとJ2の3位~6位のクラブが参加する、トーナメント方式の入れ替え戦」。
別の説明の仕方をすると、「J1昇格プレーオフの勝者に、新たにJ1 16位との入れ替え戦を課したもの」となります。
昇格の条件が厳しくなったため、J2側からすると不満かもしれません。
ただ、導入の背景には、
- J2の3番目で昇格したクラブのほとんどが、1年でJ2に降格している
- J1 16位で降格したクラブのほとんどが、圧倒的な成績を残している
という事情があるため、仕方がないでしょう。
J1参入プレーオフの結果
2018年
- 磐田 (J1 16位)
- 横浜FC(J2 3位)
- 大宮 (J2 5位)
- 東京V (J2 6位)
※J2 4位は町田だったが、J1ライセンスを持たないため参加資格なし。
⇒ 磐田が決勝で勝利し、J1残留。
2019年
- 湘南 (J1 16位)
- 大宮 (J2 3位)
- 徳島 (J2 4位)
- 甲府 (J2 5位)
- 山形 (J2 6位)
⇒ 決勝は1-1の引き分けだったものの、規定により湘南がJ1に残留。
J1参入プレーオフは、J1の1勝1分(2019シーズン終了時点)
まとめ:J1の方が戦績は良いが、その差はわずか
まとめると、勝敗は次のようになります。
- J1参入決定戦 1勝
- J1・J2入れ替え戦 2勝3敗
- J1参入プレーオフ 1勝1分
J1の、4勝3敗1分。
J1がわずかに上回ってはいるものの、僅差です。さすが上位カテゴリ、と呼べるほど圧倒的な差ではありません。
J1参入プレーオフの導入により、J1 16位は自動降格こそ免れてはいるものの、状況が決して簡単ではないことは、この数字が示しています。
「16位で残留できる確率は五分五分」くらいに考えておくべきなのかもしれませんね。
今回は、以上です。