Jリーグ

これがJ1残留に成功したクラブと失敗したクラブの違いです【2008年】

こんにちは、早起きラガードです。

Jリーグは開幕当初から見ています。

たった一つの順位差でありながら、まったく違う意味を持つJ1の15位、16位、17位。

それぞれの順位に落ち着いたクラブにどんな傾向があったのかを、シーズンごとに見ていっています。

今回はその4回目。2008年を取り上げます。

前回はこちら。

これがJ1残留に成功したクラブと失敗したクラブの違いです【2007年】こんにちは、早起きラガードです。 たった一つの順位差でありながら、無条件で残留できるJ1 15位と、残留には条件が付くJ1 16位...

2008年のJ1 15位、16位、17位には次のような傾向がありました。

  • 15位 前半のつまづきを、中盤と後半の猛烈な追い上げでカバー
  • 16位 好不調を短く繰り返すも、好調期の爆発力で15位に及ばず
  • 17位 中盤までの好調を後半まで維持できず

詳しく見ていきます

2008年のJ1残留争い

レギュレーション

16位 J1・J2入れ替え戦に出場
17位 自動降格
18位 自動降格

2008年の降格に関するレギュレーションは、前の年(2007年)までと同じです。

15位までが無条件で残留。16位がJ1・J2入れ替え戦に出場で、17位以下が自動降格でした。

2008年J1の結果

結果は、次のようになりました。

順位 クラブ 勝ち点
15位 千葉 38
16位 磐田 37
17位 東京V 37

2008年の15位から17位は、僅差の結果となりました。

15位千葉と16位磐田の勝ち点差は、わずかに1。

16位磐田と17位東京Vは勝ち点が同じで、得失点によって順位が分かれています。

得失点差
  • 磐田 -8
  • 東京V -12

この年の磐田は入れ替え戦に勝利し、J1残留に成功しているので、このときの得失点差4は大きな意味を持つことになりました。

残留に成功したクラブ・失敗したクラブの状況は?

15位、16位、17位、それぞれのクラブの状況を見ていきましょう。

15位千葉

順位と勝ち点の推移は、次の通りです。

2008年千葉の順位と勝ち点の推移

シーズン終了時には15位を確保している千葉ですが、そこに至るまでの順位を追うと、残留できたことが奇跡のように思えてきます。

全34試合のうち、実に29試合が16位以下でした

18位で過ごした期間も短くありません。

大きな要因は、前半のつまづきです。

5試合目から11試合目まで、7連敗を喫してしまいました。

11試合目終了時点の勝ち点は、わずかに2です。

Jリーグは、勝利に勝ち点3が与えられますから、11試合の中で1勝でもできていれば、千葉より上位に立つことができてしまいます。

当然このときの順位は、18位(最下位)。

この時点で、残留はほぼ不可能と思われていてもおかしくはない、惨憺たる成績でした。

ところがこの年の千葉は、ここで終わりませんでした。

後半、猛烈に巻き返します。

2008年千葉の前半17試合と後半17試合の勝ち点

実に極端で、わかりやすいグラフですね。

2008年の千葉はリーグ後半に、前半の3倍近い勝ち点を稼ぎました。

2008年千葉の5試合ごとの勝ち点

連敗を脱した12試合目からの勝ち点の稼ぎ方が、残留争いをするクラブのものではないですね。

5試合で、勝ち点7、7、8、10。

31から34試合目は4試合分しかないこともあって勝ち点4に留まっていますが、それでも11試合目以降、5試合で平均7以上の勝ち点を獲得しています。

リーグ前半からこのペースで勝ち点を稼いでいれば、最終的な勝ち点は50に達したはずですから、上位は無理でも中位には十分食い込むことができたでしょう。

残留争いに巻き込まれるクラブの場合、多くの勝ち点を稼げている期間があったとしても、瞬間最大風速的なものに過ぎず、長くは続きません。

それがこの年の千葉は、11試合目から20試合以上に渡って続けていました。

異例の長さです。

しかし異例だからこそ、普通ならとても残留はおぼつかない前半の大きなつまずきから、15位まで巻き返すことができました。

2008年千葉の15位は、「中盤から後半の長期に渡って好調を維持できたこと」によるものでした。

16位磐田

2008年磐田の順位と勝ち点の推移2008年の磐田は、ご覧の通りの右肩下がり。

9試合目を境に、緩やかに順位は下降しています。

勝ち点獲得の時期にもそれは表れていて、前後半を比較すると後半はかなり少なめでした。

2008年磐田の前半17試合と後半17試合の勝ち点

ただ、5節単位で見ると、長期に渡って不調を続けていたというわけでもありません。

調子を落とした時期はあるものの、すぐに立ち直って、直後にはきちんと勝ち点を稼いでいます。

2008年磐田の5試合ごとの勝ち点

11-15試合目や21-25試合目では獲得勝ち点を減らしていますが、直後の期間ではしっかりと稼げています。

最終勝ち点は37。残留争いをしているクラブとしては決して低くありません。

事実、15位千葉との勝ち点差もわずかに1です。

千葉との違いは、好調期に獲得した勝ち点の差でした。

5節単位で見たとき、千葉は勝ち点7以上の期間を4度作っていますが、磐田は3度しか作ることができていません。

また、千葉は最高で勝ち点10を獲得した期間がありますが、磐田は8が最高。

長期の低迷にこそ陥らないものの、好不調を繰り返して、思うように順位は上がらず。

好調時の爆発力で及ばず、最後に千葉に抜かれて16位に甘んじる、というのが、2008年の磐田でした。

17位東京V

2008年東京Vの順位と勝ち点の推移

2008年の東京Vは、これまであまり見かけたことのない動きを見せています。

序盤は振るわないものの、中盤に差し掛かるあたりから浮上。

中盤、12位前後をふわふわと漂い続けるものの、終盤に入ると力を失ったようにゆっくりと下降して、最後は17位に着地しました。

5試合ごとの勝ち点で見てみると、シーズン中盤までは順調に勝ち点を稼いでいたことがわかります。

2008年東京Vの5試合ごとの勝ち点

20試合目より前に、勝ち点7以上稼いだ期間が3回。これは、16位磐田と同じで、17位のクラブとしては破格です。

この年の17位東京Vは、16位磐田と勝ち点で並んでいました。

得失点差で17位甘んじ、降格の憂き目に遭う羽目になりましたが、勝ち点だけなら悪くても入れ替え戦、年度によっては残留できていてもおかしくありません。

東京Vにとって惜しかったのは、後半勝ち点を稼ぐことができなかったこと。

16位磐田と同勝ち点、15位千葉ともその差はわずかに1したすから、21試合目以降でもう勝ち点1か2多く獲得することができていれば、無条件での残留も可能でした。

中盤までの好調をもう少し持続できていれば、降格を免れていたのが2008年の東京Vでした。

まとめ

大接戦となった2008年のJ1 15位、16位、17位には、次のような特徴がありました。

  • 15位 千葉 前半のつまづきを、中盤と後半の猛烈な追い上げでカバー
  • 16位 磐田 好不調を短く繰り返すも、好調期の爆発力で15位に及ばず
  • 17位 東京V 中盤までの好調を後半まで維持できず

後半17節で千葉が稼いだ勝ち点は28。勝敗は、8勝4分5敗です。

前半から同じペースを続けていた場合、勝ち点は56になります。

これは、4位に相当する成績です(2008年4位の大分トリニータが、勝ち点56)。

前半大きくつまずいても、その後の巻き返しで残留は可能。ただしそのためには、残り試合で上位クラブ並に勝ち点を積み上げる必要があります。

簡単ではないですね。それができるなら、初めから残留争いになど巻き込まれていないわけですから。

しかし、それが決してミッション・インポッシブルではないことを身をもって示してくれたのが、2008年の千葉なのでした。

今回は、以上です。