こんにちは、早起きラガードです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
- 本当の世界一を決める大会はどちらか
- 出場国、予選・大会方式に違いはあるか
- イギリス4協会の扱いに違いはあるか
なお、サッカーには男子と女子がありますが、オリンピックとワールドカップの位置付けは両者で違いがあります。
そこで本記事では男子サッカーを対象として、オリンピックとワールドカップの違いについてご紹介していきます。
サッカー(男子)において最も価値の高い大会はワールドカップ
サッカー(男子)において最も価値の高い大会は、FIFAワールドカップです。
理由は、以下の出場資格をご覧いただければ、お分かりいただけるかと思います。
オリンピック
- 大会前年の12月31日時点で、23歳未満の選手
- 1チーム3人までは、上記年齢を超える選手の出場もOK(この出場枠のことを、「オーバーエイジ枠」と呼びます)
ワールドカップ
- 年齢制限なし
オリンピックは、基本的に23歳以下の選手で戦われる大会です。
3人までは、24歳以上の選手も出場可能ですが、メンバーの大半はやはり23歳以下の選手になります。
このためオリンピックを目指すチームのことを、U-23代表(UはUnderの頭文字です)と呼んだりもします。
一方、ワールドカップには、そうした年齢制限は一切ありません。
こちらはA代表と呼ばれる、年齢制限のない代表チーム(すなわち、その国の最高のメンバーを集めたチーム)が出場する大会となります。
かつてはアマチュア=オリンピック、アマチュア+プロ=ワールドカップという違いがあった
歴史をさかのぼると、かつて2つの大会には、
- オリンピック=アマチュアの大会
- ワールドカップ=アマチュア+プロの大会
という区別がありました。
これは、かつてオリンピックが「アマチュアの祭典」だったことに由来します。
現在では、プロ選手もオリンピックへの出場が可能となっているので、この区別はまったく当てはまりません。
オリンピックのサッカー(男子)にプロ選手が出場可能になったのは、1984年ロサンゼルスオリンピックから。
そのあたりの詳しい経緯については、こちらでご紹介しています。
オリンピックとワールドカップは、出場国数に違いあり
ワールドカップの方が出場国数は多い
年齢制限以外の大きな違いの1つが、出場国数です。
2つの大会の出場国数は、次の通り。
大会 | 出場国数 |
オリンピック | 16 |
ワールドカップ | 32 |
ワールドカップは、オリンピックの2倍です。
ちなみにワールドカップのこの数字は2022年カタール大会までのもので、その次の2026年大会からは、出場国数が48に拡大されることが決まっています。
地域ごとの出場国枠比率にも違いあり
シンプルに、そう考えたくなるところではあるのですが、実際には違っています。
各地域の、オリンピック(五輪)とワールドカップ(W杯)の出場国枠は次の通り。
地域 | 五輪 | W杯 |
アジア | 3+1 | 4.5+1 |
アフリカ | 3 | 5 |
北中米カリブ海 | 2 | 3.5 |
南米 | 2 | 4.5 |
オセアニア | 1 | 0.5 |
ヨーロッパ | 4 | 13 |
※+1は開催国枠。また、数字は、オリンピックは2020年東京大会、ワールドカップは2022年カタール大会のものを使用しています。
ワールドカップの出場国枠が、オリンピックの単純な2倍になっている地域は、1つもありません。
具体的な数字で見てみると、
地域 | オリンピックを1とした場合 |
アジア | 1.5 |
アフリカ | 1.67 |
北中米カリブ海 | 1.75 |
南米 | 2.25 |
オセアニア | 0.5 |
ヨーロッパ | 3.25 |
となり、ワールドカップでは南米とヨーロッパの出場枠がオリンピックより多めに与えられていることがわかります。
ただ、実績を考えると、ワールドカップにおけるヨーロッパと南米の出場枠が不当に多いという印象は受けません。
むしろオリンピックの出場国枠が少ないのではないか、という感じの方が強いです。
特にヨーロッパはかなり少なくされている印象ですが、それでも特に問題視されていないのは、ヨーロッパではオリンピックのサッカーがあまり重要視されていないせいかもしれません。
オリンピックとワールドカップは、予選や大会方式も違う
ワールドカップの方が、登録選手数も多い
本大会の方式では、共通している部分が多いオリンピックとワールドカップですが、登録選手数(出場できる選手の人数)は違っています。
大会 | 登録選手数 |
オリンピック | 18 |
ワールドカップ | 23 |
ワールドカップの23人対して、オリンピックは5人も少ない18人しか登録できません(18人には、オーバーエイジの選手も含まれます)。
したがって、単純に人数だけ比較すると、オリンピックの方がワールドカップよりも狭き門ということになっています。
実際には、母数の違いがあるのでそう単純ではないですが。
オリンピックの予選は、別の大会が兼ねていることも
各地域で出場国を決めるための予選にも、オリンピックとワールドカップで違いがあるケースがあります。
ワールドカップ
- ワールドカップのための予選大会が、開催される
オリンピック
- 地域によっては、他の大会が予選を兼ねている
ワールドカップの場合、どの地域も基本的に「ワールドカップ予選」を開催します。
一方オリンピックでは、他の大会が予選を兼ねるケースがあります。
具体的には、次の通り。
大会 | 予選を兼ねる大会 |
アジア | AFC U-23選手権 |
アフリカ | U-23アフリカネイションズカップ |
ヨーロッパ | U-21欧州選手権 |
アジア、アフリカ、ヨーロッパでは「オリンピック予選」は開催されず、各大会の上位国が、そのままオリンピックの出場権を獲得することになっています。
本大会の方式には、共通点が多い
オリンピック、ワールドカップともに本大会の方式は大体同じです。
- 出場国を3~4ヶ国ずつにわけて、グループリーグを実施
- 各グループの上位2ヶ国が、決勝トーナメントに進出
という、サッカーの国際大会でよく見られる方式が、両大会でも採用されています。
グループリーグの国数が3~4と微妙な幅があるのは、2026年からワールドカップの出場国数が増えるためです。
オリンピックのグループリーグは、
- 4ヶ国ずつ4つのグループ
ですが、
ワールドカップのグループリーグは、
- 2022年大会まで:4ヶ国ずつ8つのグループ
- 2026年大会以降:3ヶ国ずつ16のグループ
という風に変化します(上位2ヶ国が決勝トーナメントに進出する点は変わらない)。
「イングランド代表」が出場できるワールドカップ、出場できないオリンピック
ワールドカップへの出場は、基本的に1国1チーム(正確には、1協会1チーム)に限られますが、イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)は歴史的経緯から、自国を形成する次の4つの国それぞれからチームを出場させることが認められています。
- イングランド
- ウェールズ
- スコットランド
- 北アイルランド
そのため、ワールドカップでは「イングランド代表」だけでなく、「ウェールズ代表」「スコットランド代表」「北アイルランド代表」の出場も可能です。
一方、オリンピックでは「イングランド代表」や「スコットランド代表」での出場が認められていません。
イギリスは、あくまでイギリス代表として出場する必要があります。
結成が困難なイギリス代表
「イギリス代表」としての出場実績自体はあります。
が、その回数自体は多くありません。
特に1976年から2008年まではずっと不参加(予選敗退ではなく、そもそも参加していない)で、自国開催となった2012年ロンドンオリンピックが、36年ぶりの出場となりました。
イギリス代表の結成には、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4協会の合意が必要になるのですが、これがなかなか取れないことが、イギリス代表結成の困難につながっているようです。
2020年東京オリンピックは、イギリス代表が出場
2016年リオオリンピックでは再び不参加となったイギリス代表ですが、2020年東京オリンピックでは出場が決まっています。
自国開催だった2012年と違って、2020年大会の出場には予選(U-21欧州選手権)を勝ち抜く必要があります。
ただ、このときは事前の取り決めで、
「オリンピック出場権については、イングランド代表の成績をイギリス代表の成績とする」
ことになっていました。
2017年に行われたU-21欧州選手権で、イングランドはベスト4に進出。見事、2020年の東京オリンピック出場権を獲得しました。
サッカーにおけるオリンピックの位置付けは「年代別代表の大会」
あれやこれやと紹介してきましたが、サッカー(男子)におけるワールドカップとオリンピックの最も大きな違いは、「年齢制限があるかないか」です。
真の世界一決定戦は、ワールドカップ。
オリンピックは、年代別の世界大会と考えておけばいいでしょう。
今回は、以上です。