こんにちは、早起きラガードです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
- J1からJ2に降格したクラブはどのくらい観客が減るか
- 長くJ1に在籍していたクラブの場合、観客の減り方に違いはあるか
- 2回目以降の降格で観客の減り方に違いはあるか
詳しく、見ていきます。
J1からJ2に降格すると、観客動員数はどのくらい減るのか?
そもそも、J1時代と比較して観客は減る?
これは皆さんご想像の通りで、観客は確実に減ります。
漏れなく、です。
1998年にコンサドーレ札幌がJリーグ初の降格クラブとなって以来、J2降格によって1試合平均観客動員数が増えたクラブは、過去1つも存在しません。
維持できたクラブも、存在しません。すべてのクラブが、観客動員数を減らしています。
熱狂的なサポーターが多いことで知られている浦和レッズでさえ、J2で戦った2000年には、前年から大きく観客を減らしました。
- 1999年 浦和(J1) 21,276人
- 2000年 浦和(J2) 16,923人(-4,353人)
上記の通り。
これが、現実です。
観客動員数はどのくらい減るの?
1998年から2017年までに降格した、のべ49クラブの1試合平均観客減少数は、4,186人でした。
※2018年に降格した柏、長崎はまだシーズン中なので対象から外しています。
観客動員数を最も大きく減らしたのは、2014年に降格したセレッソ大阪。
1試合平均観客動員数が、約9,400人減っています。
- 2014年 C大阪(J1) 21,627人
- 2015年 C大阪(J2) 12,232人(-9,395人)
2018年のJ2リーグの平均観客動員数が7,049人ですからね。なかなかの減少幅です。
ちなみに9,000人を超える減少を記録したクラブは、あと2つ存在します。
- 2005年 東京V(J1) 14,716人
- 2006年 東京V(J2) 5,705人(‐9,011人)
- 2008年 東京V(J1) 14,837人
- 2009年 東京V(J2) 5,521人(‐9,316人)
2つ、と書きましたが、実際には1つですね。
2005年と2008年の、東京ヴェルディ1969でした。
東京Vのファン・サポーターは、J2だとスタジアムに足を運んでくれない人が多い、ということでしょうか。
一方、観客動員数が最も減らなかったのは、2007年に降格した広島でした。
わずか、600人弱しか減少していません。
- 2007年 広島(J1) 11,423人
- 2008年 広島(J2) 10,840人(‐583人)
広島は2002年にもJ2降格を経験しているのですが、このときの減少数も全体の中では少ない方でした。
- 2002年 広島(J1) 10,941人
- 2003年 広島(J2) 9,000人(‐1,941人)
このあたりは、ファン・サポーターのカラーが現れているところかもしれません。
減少率で見ると、どうなる?
「どのくらい観客が減るのか」という問いに、より正確に答えられるのはこちらですね。
人数でみた減少幅のインパクトは、「元々どのくらい動員できていたか」でまったく異なりますからね。
10,000人動員できていたクラブから500人減るのと、1,000人しか動員できていなかったクラブから500人減るのとでは、同じ500人の減少でも意味が違いますよね?
1998年から2017年までに降格した、のべ49クラブの減少率の平均は31.1%でした。
すなわち、J2に降格すると、観客動員数は7割弱にまで落ち込んでしまう、ということになります。
減少率の、高い方から上位5クラブは、次の通り。頭の年数は、降格した年です。
- 2008年 東京V 63%
- 2005年 東京V 61%
- 2005年 神戸 54%
- 2001年 福岡 53%
- 2007年 横浜FC 52%
ここでも1位と2位は、東京Vでした。
人数だけでなく、減少率としても高かったのですね。
一方、減少数1位だった2014年のC大阪はというと、減少率は43%で、上位5クラブどころか、10クラブにも入らない12位でした。
J1時代の観客動員が、東京Vの1.5倍あるので、減少数が似通っていてもパーセンテージに直すと、そこまで大きな数字にはならなかったようです。
J2降格時の観客減少率は、31.1%
J1在籍が長いクラブは、観客の減少に違いがある?
J1在籍が長いって?
「J1在籍が長い」にも、いくつか意味がありますよね。
- 通算在籍年数が長い
- 連続在籍年数が長い
また、年数も5年なのか、10年なのか、はたまた15年は必要なのか、など、人によって感覚も異なると思います。
これについては、「正しいか、正しくないか」という話ではなく、「どう決めるか」の問題なので、僭越ながらこちらで勝手に決めさせていただきます。
本記事では、「J2降格直前まで、5年以上連続でJ1に在籍」していたケースを、「J1在籍が長い」とします。
5年というのは、そのくらいの期間連続でJ1に在籍していると、「常連感」のようなものがでてくるかな、と思ったからです。
また、J2降格直前まで、という条件を設けたのは、この項目で明らかにしておきたかったのが、「直前までJ1常連だったクラブが降格した場合、観客がどのように減るか」だからです。
この条件がないと、「過去に5年連続J1に在籍していた実績はあるけど、今はJ1とJ2を行ったり来たりしている」というクラブも含まれてしまいますよね。
でも、それだと趣旨と異なってしまいますので、ここでは敢えて条件を付け加えさせていただきました。
という訳で本記事では、
J1在籍が長い = J2降格直前まで、5年以上連続でJ1に在籍していた
とします。
「J1在籍が長いクラブ」の観客減少率
1998年から2017年までにJ2降格を味わったのべ49クラブのうち、「J1在籍が長い」に該当するのは、のべ20クラブ。
意外に多いですね。
そしてこの20クラブの減少率の平均は、30.4%でした。
全体平均が31.1%ですから、ほとんど変わりはありません。
直前まで長くJ1に在籍していても、観客動員数にあまり影響しないようです。
- 長くJ1に在籍していた分、コアなファン・サポーターが増えてJ2降格後も減少率は小さくて済む
とか、
- J1在籍が長かった分、J2降格への失望も大きく、ファン・サポーター離れが進んで減少率は大きくなる
などの、特徴的な傾向を期待していたのですが…… 意外なほど、変わりはありませんでした。
J1在籍が長いクラブでも、降格時の観客減少率は変わらない
2回目以降のJ2降格で、減少率は変わる?
要するに、
という、仏の心が多いのか。あるいは、
という、怒りの方が多いのか、という話です。
答えは次の通りでした。
2回目のJ2降格
1998年から2017年までの間に、2回目のJ2降格を経験したのは13クラブ。
観客動員数の減少率は、31.5%でした。
これまた全体の31.1%と、ほとんど変わりがありません。
3回目のJ2降格
続いて、3度目のJ2降格です。経験したのは、6クラブ。
減少率は、33%と少々高めとなりました。
3度目のJ2降格では、怒りの方が勝るようです。
4回目のJ2降格
1998年から2017年までの20年間で4度のJ2降格を経験しているのは、3クラブ。2019年現在、降格回数ではこれが最多です。
該当するのは、京都、札幌、湘南。
※札幌は1998年のJ1参入決定戦の結果を1回目の降格とカウントしています。
そしてこの3クラブの、4回目の降格時の観客減少率は、27.6%と、全体平均31.1%を下回る結果となりました。
降格も4度目ともなると、今度は仏の心の方が上回るようです。
2回目は減少率に変化なし、3回目で平均を上回るが、4回目になると下回る
まとめ:程度の差はあれ、どんなクラブもJ2降格で観客は減る
- J1からJ2に降格した場合の観客減少率は、31.1%
- 長くJ1に在籍していたクラブでも、観客の減り方に違いはない
- 2回目の降格では減少率に変化なし、3回目では平均を上回るが、4回目では下回る
J2降格時の観客減には、「ファン・サポーターのスタジアム離れ」の他に
- 使用するスタジアムの収容人数の少なさ
- アウェークラブの集客力の乏しさ
といったことも、理由として挙げられます。
スタジアムについては、「集客が減るから、小さなスタジアムを使わざるを得ない」ということかもしれませんが……
いずれにしても、観客減はクラブの収入減に直結しますからね。
すべてのクラブがJ2降格によって観客が減っているわけですし、やはり降格はしないに越したことはないです。
今回は、以上です。