こんにちは、早起きラガードです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
- アンカーが表すのは「位置情報」
- 日本では「役割」の意味も追加
- アンカーとボランチの違い
詳しく、見ていきます。
アンカーは「役割」ではなく「位置情報」
「アンカー」とは、「ウイング」とか「シャドーストライカー」とかと同じ、サッカーにおけるポジション用語の一つです。
元々はイングランドで使われていた言葉でした。
英語で「碇」を意味する「anchor」が元になっています。
サッカーのポジション用語は2つに分類される
という疑問に移る前に、まずはサッカーのポジション用語について簡単に紹介しておきます。
サッカーのポジション用語は、大きく2つに分類することができます。
- 位置情報
- 役割
「位置情報」とはその名の通り、「どのあたりに位置するか」を表す単語です。
- ウイング
- サイドバック
などがそうですね。
一方、「役割」を表す単語としては、
- シャドーストライカー
- ストッパー
などが当てはまります。
アンカーが意味するのは「中盤の底」
アンカーは、本来の意味では「位置情報」を表すポジション用語です。
具体的には、ここ。
中盤の底、DFラインの前に位置する選手が本来の意味におけるアンカーになります。
ただ、日本での使われ方はこれだけに留まりません。
「中盤の底」を指しているのは同じなのですが、そこにもう少し意味が追加されて使われているケースが多いのです。
日本では中盤の底の「守備的な」選手
海外発祥のサッカー用語が、日本では本来の意味とは違った形で使われている、というケースは実はしばしばあります。
よく知られているのが「ボランチ」。
本記事でも後で紹介しますが、ポルトガル語で「舵取り」を意味するこの言葉、日本ではちょっと違った形で浸透してしまっています。
アンカーも、そうした用語の一つ。
本来、「中盤の底」という位置情報を表す言葉だったこのポジション用語を、日本では「中盤の底の『守備的な』選手」という、「役割」も追加した形で使っています。
実際には、中盤の底にいるからといって必ずしも守備的ではない選手もいるのですが、そういう選手のことをアンカーと呼ぶことは、日本ではあまりありません。
- アンカーが表すのは「位置情報」
- 本来の意味:中盤の底の選手
- 日本での使われ方:中盤の底の「守備的な」選手
アンカーとボランチはどう違う?
アンカーとよく比較される言葉に、「ボランチ」があります。
ボランチもサッカーにおけるポジション用語の一つで、日本ではJリーグ草創期から使われてきました。
アンカー以上に、耳馴染みのある言葉かもしれないですね。
ただ、言葉の本来の意味からすると、実はこの2つのポジション用語は互いに比較対象としてふさわしくありません。
というのも、ボランチは「舵取り」を意味するポルトガル語で、サッカーにおける本来の意味は「ゲームメイクを担当するセントラルMF」という「役割」を示すものだからです。
アンカーは「位置情報」を示すポジション用語ですから、アンカーとボランチを比較するというのは、「位置情報」と「役割」という、次元の違う対象同士を比較することになってしまうのです。
日本のボランチは「3列目の選手」
日本におけるボランチは、アンカー以上に本来の意味とはかけ離れた形で使われているからです。
日本でのボランチは、「役割」ではなく「3列目の選手」という「位置情報」にフォーカスした使われ方をしています。
具体的には、このあたりのポジションです。
見ての通り、「中盤の底、DFライン」の前というアンカーとほぼ同じ位置になります。このため日本では、アンカーとボランチの違いが話題に上るのです。
アンカーと「守備的な」ボランチ
アンカーとボランチの比較を、もう少し紹介しておきます。
中盤の底に選手を二人並べる、日本的に言うと「ダブルボランチ」というフォーメーションでは、
- 片方がゲームメイク担当
- もう片方が守備担当
という役割分担をするケースが多いです。
このとき、後者は「中盤の底で守備を担当する選手」と言いかえることもできますよね。
するとこれは、既に紹介した日本的な意味での「アンカー」と意味が重なります。
そのため両者の間に、
という疑問が生じてしまうのです。
1人ならアンカー、2人以上ならボランチ
これも正確な定義があるわけではないのですが、感覚的には中盤の底に位置する選手の人数で使い分けられていることが多いです。
中盤の底に位置する選手が、
- 1人なら「アンカー」
- 2人以上なら「ボランチ」
と考えておけば、おおよそ間違っていないと思います。
ダブルボランチの守備担当の選手も定義の上では「アンカー」に当たりますが、実際に「アンカー」と呼ばれているケースに出会ったことはないですね。
アンカーの役割は?
本来の意味でのアンカーは、「位置情報」を表す言葉です。
役割は、チームによって様々。
守備専門の選手が配置されているケースもあれば、ゲームメイクを担当する選手が配置されていることもあります。
ただ、近年のサッカーは選手に多様な役割を求めますから、守備だけ、攻撃だけという選手ではなく、守備も攻撃も両方できる選手が配置されるケースが多くなっています。
配置される選手には、高い能力が求められると言えます。
まとめ:サッカーにおけるアンカーは中盤の底の選手
アンカー
- 本来:中盤の底の選手(位置情報)
- 日本:中盤の底の「守備的な」選手(位置情報と役割)
ボランチ
- 本来:ゲームメイクを担当するセントラルMF(役割)
- 日本:3列目の選手(位置情報)
中盤の底に位置する選手の人数で使い分け
- 1人:アンカー
- 2人以上:ボランチ
本記事では、実際の使われ方からアンカーというポジションや、アンカーとボランチの違いについて紹介してきました。
実際には、このあたりのサッカー用語はきちんと定義されていなかったりするのですが、サッカー観戦を楽しんだり、サッカー談義に花を咲かせたりする上では、本記事で紹介したような理解ができていれば問題ないはずです。
面倒な話が嫌いな方は、中盤の底の人数の違い、とだけ覚えておけばいいかもしれません。
1人ならアンカー、2人以上ならボランチ。
これだけでも十分だったりします。
今回は、以上です。