こんにちは、早起きラガードです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
なお、正確にはアウェーゴールそのものではなく、「アウェーゴールルール」の紹介になります。
※「アウェーゴール」だけだと、「アウェーチームが挙げた得点(ゴール)」のことになります。説明する必要ないですね。
詳しく、見ていきます。
アウェーゴールルールって、どんなルール?
アウェーで挙げたゴールが多い方が勝利
いきなり、結論です。
アウェーゴールルールとは、
- ホーム・アンド・アウェー方式が採用されている2チーム間の対戦
- 2試合合計のスコアが同点
というケースにおいて、
- アウェーで挙げたゴール数の多い方を勝利とする
というルールのことです。
※「大会規定」などには違った表現の仕方をされているケースもありますが、この理解でOKです。
見ての通り、それほど難しいルールではないのですが…… こうして改まった言葉で説明してみると、何だかわかりにくく感じますね。
具体的な適用例を見た方がわかりやすいと思うので、次でそれを説明します。
取り上げるのは、2019JリーグYBCルヴァンカップ準決勝、コンサドーレ札幌 vs ガンバ大阪の試合です。
「アウェーゴールルール」の具体的な適用例
2019年のルヴァンカップ準決勝はホーム・アンド・アウェー方式で実施され、アウェーゴールルールも採用されました。
ホーム・アンド・アウェー2試合の結果は、次の通り。
- 第1戦 G大阪 2-1 札幌(パナスタ)
- 第2戦 G大阪 0-1 札幌(札幌ド)
赤字が、ホームクラブ。パナスタは「パナソニックスタジアム吹田」、札幌ドは「札幌ドーム」の略ですね。
この対戦は2戦合計のスコアが2-2の同点だったため、アウェーゴールルールが適用されました。
第1戦はホームのG大阪が2-1で勝利していますが、札幌はアウェーゴールを1つ奪っています。
第2戦は、0-1でホームの札幌が勝利。G大阪は完封負けで、アウェーゴールを奪うことができませんでした。
この結果、アウェーゴール数では
- G大阪 0-1 札幌
となり、2戦合計のスコアは2-2でありがら、札幌の決勝進出が決まりました。
「アウェーゴールは2倍になる」という勘違い
アウェーゴールルールについての説明の中で、「アウェーゴールは2倍になる」という話を聞いたことがある人がいるかもしれません。
アウェーゴールルールがサッカーファンの間でもまだ一般的ではなかった時代には、テレビや新聞などでもしばしばこの表現が用いられていました(最近はあまり見ないですね)。
ここはちょっと勘違いしやすいところなので、説明を加えておきます。
「アウェーゴールが2倍になる」こと自体は、そう明記されている大会規定も存在するため、あながち間違いではありません。
ただしそれは、アウェーゴールルール適用の大前提である、
- ホーム・アンド・アウェー方式
- 2試合合計のスコアが同点
という条件を満たしていた場合。
勘違いしやすいのはこの条件を忘れるケースで、2戦合計のスコアで差が生まれているのに、アウェーゴールを2倍で計算してしまうということがあります。
例えば、先ほどのガンバ大阪とコンサドーレ札幌の対戦において、ホーム・アンド・アウェー2試合の結果が次のようになった場合。
- 第1戦 G大阪 3-2 札幌(パナスタ)
- 第2戦 G大阪 0-0 札幌(札幌ド)
このときに、
と思ってしまうのが、勘違いしているケース。
実際には2試合合計3-2と差が付いている(同点ではない)ので、アウェーゴールルールは適用されず、G大阪の勝利となります。
※なお「アウェーゴール2倍」というのは考え方には、実はあまり意味がありません。結局、アウェーゴール数が多い方が勝ち上がりになります。
どうして「アウェーゴールルール」のようなルールが生まれた?
サッカーでは、既に一般的になっている「アウェーゴールルール」。
でも、普通に考えたら
となりますよね。
アウェーチームは条件が悪い、というのがサッカーの常識
他のスポーツではほとんど聞いたことがない、この特殊なルールがどうしてサッカーで採用されているのか。
サッカーは、ホームチームの優位が強調されるスポーツです。
アウェーチームには、相手本拠地までの移動、不慣れなスタジアム、少ないサポーターなどの悪条件が揃っているため、ホームチームと比較してどうしても劣位になります。
代表チームの試合や、クラブの国際大会を想像していただくと、ホームが有利なのは、おわかりいただけるかと思います。
そのため、ホーム・アンド・アウェー方式の試合では、
- 不利なアウェーでは引き分けを狙って守備を固め
- 有利なホームで勝ちを狙って攻撃的に戦う
という作戦を取るチームが続出しました。
これの何がいけないかと言うと、見ている方はまったくおもしろくない。
何しろ片方は初めから勝つ気がなく、失点しないことだけを考えているわけですからね。
ただでさえ、スコアの動きにくいスポーツであるサッカーで、得点の場面はさらに少なくなります。
そのため、アウェーのチームに攻撃的に出る(得点を取る)動機を与えよう、ということになりました。
そうして生まれたのが、「アウェーゴールルール」です。
「アウェーゴールルール」はどんな大会で採用されている?
「アウェーゴールルール」は、「勝ちあがるチーム」を決めるためのルールです。そのため、「引き分け」でも問題のないリーグ戦ではあまり採用されることはありません。
国際試合でのアウェーゴールルール
よく知られているところでは、
- UEFAチャンピオンズリーグ
- AFCチャンピオンズリーグ
などがあります。いずれも、決勝トーナメントからの適用ですね。
ただ、UEFAチャンピオンズリーグの場合は準決勝までです。
決勝はそもそもホーム・アンド・アウェー方式ではなく、事前にUEFAによって決定された試合地での1試合決着となるため、アウェーゴールルールも適用されません。
日本国内でのアウェーゴールルール
国内三大タイトル(J1リーグ、YBCルヴァンカップ、天皇杯)のうち、アウェイゴールを採用しているのは、YBCルヴァンカップです。
適用は、ホーム・アンド・アウェー方式で行われる決勝トーナメントからですが、決勝は一発勝負のため、アウェーゴールルールは採用されません。この点は、UEFAチャンピオンズリーグと同じです。
なお、天皇杯もトーナメント方式の大会ではあるのですが、こちらはそもそもホーム・アンド・アウェー方式が採用されていません(全試合一発勝負)。
そのため、アウェーゴールルールも採用されていない、ということになります。
まとめ:アウェーゴールが意味を持つのは、2試合合計同点の場合
おさらいです。
アウェーゴールルールとは、
- ホーム・アンド・アウェー方式が採用されている2チーム間の対戦
- 2試合合計のスコアが同点
というケースにおいて、
- アウェーで挙げたゴール数の多い方を勝利とする
というルールのことです。
2試合合計が同点でない場合は、適用されないので注意しましょう。
なお、実はこのルール、欧州トップクラブの監督からは不評のようで、UEFAでは廃止の可能性もあるようです。
今後の動向が気になるところです。
今回は、以上です。