こんにちは、早起きラガードです。
Jリーグを25年以上追い掛け続けています。
運命の大きな分かれ目となっている、J1の15位、16位、17位。
どんなクラブが、どんな経緯を辿ってそれぞれの順位となったのかを、シーズンごとに振り返っています。
前回はこちら。
5回目の今回は、2009年。
2009年のJ1 15位、16位、17位には次のような特徴がありました。
- 15位 好不調の波は大きいが、好調時に大きな勝ち点を稼いで残留に成功
- 16位 低空飛行を続けたが、後半盛り返して16位に浮上
- 17位 後半の猛追も、前半の絶不調を挽回するには至らず
詳しく見ていきます。
2009年のJ1残留争い
レギュレーション
J1残留に関わるレギュレーションは、2009年から変更となりました。
2008年までとの最も大きな違いは、J1・J2入れ替え戦の廃止です。
前年までならJ1・J2入れ替え戦に出場していた16位も、17位、18位のクラブ同様自動降格となりました。
2008年 | 2009年 | |
16位 | 入れ替え戦 | 自動降格 |
17位 | 自動降格 | 自動降格 |
18位 | 自動降格 | 自動降格 |
2009年のレギュレーションでは、その通りです。
しかし現在のレギュレーションで考えた場合、16位と17位の間には明確な違いがあるため、本記事ではこれまで通り、15位、16位、17位について見ていくことにします。
2009年のJ1の結果
2009年J1の15位、16位、17位は、次のような結果となりました。
順位 | クラブ | 勝ち点 |
15位 | 山形 | 39 |
16位 | 柏 | 34 |
17位 | 大分 | 30 |
前述の通り、2009年度からのレギュレーション変更で、16位柏までが自動降格となっています。
15位山形
最終的には、16位柏に勝ち点5の差をつけて残留に成功している、2009年の15位山形。
順位はぎりぎりだったものの、16位以下に落ちたのは16試合目の一度だけで、基本的にはシーズンを通して15位以上をキープしています。
リーグ前半と後半に獲得した勝ち点は、ほぼ同じ。
ただ、では勝ち点獲得に偏りがなかったかというと、そういう訳でもありませんでした。
この年の山形は、好不調の波がはっきり分かれていたクラブだった、と言うことができます。
- 1-5試合目や26-30試合目は、勝ち点10を荒稼ぎ
- 複数の期間で、勝ち点3以下しか獲得できていない
5試合単位で分けた7つの期間のうち、勝ち点10の期間が2回、勝ち点8の期間が1回。
好調期より不調期の方が少しだけ回数が多いですが、好調期に獲得している勝ち点が残留争いをしているクラブとしては多めです。
そしてこのことが、結果的に15位という順位につながりました。
2009年の山形は、好調期にしっかりと勝ち点を稼ぎ、15位を確保していたことがわかります。
16位柏
最後は16位に収まった柏ですが、シーズン通してみると17位にいた時間の方が長いです。
長らく低空飛行を続けた後、終盤に差し掛かろうかという25試合目で、ようやく16位に浮上。
その原動力となったのが第21節からの7戦負けなしという成績でした。
と言っても、実際は2勝5分なので大きな飛躍ではないのですが、コツコツと勝ち点を積み上げることはできています。
その効果は、5試合ごとに積み上げた勝ち点で見るとよくわかります。
21-25試合目に勝ち点9を稼ぐことができています。
こうした結果を見ると、「負けない」ということがいかに大事かよくわかりますね。
この年の柏は、他にも終盤31試合目から34試合目に、勝ち点7を獲得しています。
が、結局序盤から中盤にかけての低空飛行が響いて、残留には手が届きませんでした。
15位山形との勝ち点5差を縮めるには、もう一度くらい、多めの勝ち点を稼げる好調期が必要だったかもしれません。
17位大分
2009年の大分は、ある意味で驚異的です。
リーグの折り返しに当たる17試合目までで、わずかに勝ち点4しか得られていないという惨状から、最終的には最下位(18位)を免れているからです。
第4節から第17節まで、何と14連敗。
これは、JリーグでVゴール方式が採用されなくなってからの、J1最多連敗記録です。
それでも最終順位が最下位にならなかったのは…… 当然ながら、後半の巻き返しがあったからでした。
25試合目からシーズン終了までの10試合は、5勝5分で負けなし。
前半17節と後半17節では、後半に圧倒的な勝ち点を稼いでいます。
ここまで極端な差も、珍しいですね。
5試合ごとで見ても、6‐10試合目、11‐15試合目の更地は、やはり異様です。
これを挽回して残留するためには、後半17試合で勝ち点35以上が必要でした。
が、これはそんなに簡単ではありません。
この年優勝した鹿島の最終勝ち点が66。J1リーグは全34試合ですから、単純計算すると17試合で勝ち点33を獲得していたことになります。
わかりますよね。
17試合で勝ち点35ということは、優勝した鹿島以上のペースで勝ち点を積み上げていかなければならないことを意味するのです。
それができるくらいの実力があるなら、初めから残留争いになど巻き込まれていないでしょう。
後半の猛追にも限界があります。やはり、前半に稼いだ勝ち点があまりにも少なすぎました。
まとめ:不調時にどれだけ出血を抑えられるかも、残留の鍵になる
2009年のJ1 15位、16位、17位には次のような特徴がありました。
- 15位 山形 好不調の波は大きいが、好調時に大きな勝ち点を稼いで残留に成功
- 16位 柏 低空飛行を続けたが、後半盛り返して16位に浮上
- 17位 大分 後半の猛追も、前半喫した14連敗のダメージを挽回するには至らず
2009年のJ1は、好不調を短く繰り返し、好調なときに大きく勝ち点を稼いだ山形が残留に成功しました。
短い期間で不調を脱しているクラブが残留に成功しているのは、過去のシーズンとも共通しています。
前年(2008年)は、前半の大きなつまずきを挽回した千葉が残留に成功しましたが、2009年の大分は二匹目のドジョウとはいきませんでした。
2008年の千葉が、後半17節で稼いだ勝ち点は28。
2009年の大分は26ですから、近いところまで迫ってはいるのですが……
やはり前半17節で獲得した勝ち点が少なすぎました。
後半の巻き返しにも、限界はあります。
前半にもある程度は勝ち点を稼いでおかないと、残留は難しくなる。2008年の千葉も、前半はギリギリ二桁、勝ち点10は獲得していました。
残留に一番近いのは、この年の山形のように好不調を短く繰り返しながらも、コンスタントに勝ち点を積み重ねていけるクラブです。
前後半どちらかに偏って勝ち点を稼いだクラブの残留も不可能ではないですが、その場合、不調な時期にどれだけ出血を抑えられたか、が一つの鍵になる。
前半17節で獲得した勝ち点で一桁では、かなり難しいと言っていいでしょう。
この年の大分が、そのことをよく教えてくれています。
今回は、以上です。