こんにちは、早起きラガードです。
Jリーグは、1部制10クラブだった時代から見ています。
2019年現在、Jリーグに参加しているのは55クラブ。
カテゴリ別にみると、J1が18クラブ、J2が22クラブ、J3が15+3クラブとなっています。
※J3には、ガンバ大阪、セレッソ大阪、FC東京がU-23チームを参加させています。そのため+3という表記になっていますが、この3つは独立したクラブではないので、合計には入れていません。
J1のクラブ数が18になったのは、2005年。それから15年間、増減なく18クラブでリーグ戦が行われています。
しかし一方、そうした現状に異を唱える人たちも存在します。
そこで今回は、J1のクラブ数について考えていきます。
J1のクラブ数は多過ぎる?
結論から言うと、まったくそんなことはありません。
18クラブによる、2回戦総当たりでの34試合という現行のJ1リーグの方式は、適正です。
これ以上増やさなくてもいいとは思いますが、減らす必要はないでしょう。
試合数は多いほどいい
前提として、プロスポーツの試合数は多ければ多いほど良いです。
ファン・サポーターの立場からすると、応援しているクラブの試合は1試合でも多く見たいものですし、クラブとしても入場料による収入の増加が見込めるからです。
クラブ数が減れば、試合数は減りますよね?
ですから、J1のクラブ数も減らす必要はないと考えています。
年間の試合数には限界がある
多ければ多いほど良い、といっても、際限なく試合を増やせるわけではありません。
試合をする選手は、人間です。
人間には疲労や体力の限界が存在しますから、試合と試合の間にはある程度時間を開けなくてはなりません。そのため、一年にこなせる試合数には限りがあります。
サッカーの適正な年間試合数は?
では、サッカーの適正な年間試合数は、どのくらいなのでしょうか?
2017年1月、国際サッカー連盟(FIFA)の技術部門の最高責任者マルコ・ファンバステン氏は、選手の公式戦出場を年間60試合程度に制限すべきだ、との見解を示しています。
国際サッカー連盟(FIFA)技術部門の責任者で、元オランダ代表FWのファンバステン氏が18日、AP通信の取材に対し、選手の公式戦出場を年間60試合程度に制限するべきだとの見解を示した。
同氏は「試合数が多すぎる。全ての大会で勝った選手は最大75試合ほど公式戦に出るため、6月に大きな大会があっても最高のプレーができない。55~60試合にとどめるべきだ」と述べた。
ファン・バステン氏はFIFAの技術部門の責任者ですから、年間60試合程度であればプレーの質を落とさずに済む、とFIFAは考えているようです。
そしてこれは、「一年間に出場可能な最大の試合数は、60試合」と言い換えることができます。
J1クラブ所属選手の年間試合数は?
各大会の試合数
J1クラブの、リーグ戦を除いた年間試合数はどのくらいになるのでしょうか?
2019年のレギュレーションによる、各大会の試合数は次の通りです。
大会 | 試合数(最大) |
J1リーグ | 34試合 |
ゼロックススーパーカップ | 1試合 |
ルヴァンカップ | 13試合 |
天皇杯 | 6試合 |
ACL | 11試合 |
スルガ銀行チャンピオンシップ | 1試合 |
合計すると66試合になってしまいますが、すべての試合に出場するクラブは存在しません。
というのも、ACL出場クラブはルヴァンカップのグループステージ6試合、プレーオフステージ2試合が免除されるからです。
また、ルヴァンカップ、天皇杯、ACLはノックアウトステージがあるので、すべてのクラブが上に挙げた試合数を戦うわけではありません。
最も試合数が多くなるケース
細かい説明は省きますが、次のどちらかのケースになります。
- ケースA:ゼロックススーパーカップ、スルガ銀行チャンピオンシップ両方の出場権を持っておりACL、ルヴァンカップ、天皇杯すべてで決勝まで進んだ場合
- ケースB:スルガ銀行チャンピオンシップ、ACLプレーオフの出場権を持っており、ACL、ルヴァンカップ、天皇杯すべてで決勝まで進んだ場合
ゼロックススーパーカップに出場するクラブは、ACL本戦からの出場になります。ゼロックス、ACLプレーオフ両方に出場するクラブは存在しません。
そしてケースA、ケースBどちらの場合でも、試合数は57となります。
大会 | ケースA | ケースB |
J1リーグ | 34試合 | 34試合 |
ゼロックススーパーカップ | 1試合 | なし |
ルヴァンカップ | 5試合 | 5試合 |
天皇杯 | 6試合 | 6試合 |
ACL | 10試合 | 11試合 |
スルガ銀行チャンピオンシップ | 1試合 | 1試合 |
合計 | 57試合 | 57試合 |
日本代表は?
日本代表のレギュラー選手の場合、ここにさらに12~15試合程度が加わります。
天皇杯の序盤と日本代表の日程は重なることがあるので、試合数は少し減りますがそれでも合計は67~70になるでしょう。年間60試合を越えてしまいます。
ただ、これはあくまで試合数を最大に考えた場合。現実にはすべてのカップ戦で決勝まで勝ち進み、リーグでも代表でも全試合に出場するようなケースは極めて稀です。
カップ戦の敗退に加えて、怪我や出場停止による欠場、疲労を考慮した温存等もあるため、実際の出場試合はここから10試合程度少なくなる、と考えてよいでしょう。
すると18クラブによる2回戦総当たりという現行のJ1リーグの方式であれば、ほとんどの選手の出場試合は、年間60試合という水準に収まることになります。
J1のクラブ数を減らせば、年間60試合をもっと簡単に下回るのでは?
確かに、単純に試合数を減らすだけなら、それで実現できます。
でも、忘れないでください。試合数は、多ければ多いほど良いのです。
考えなければならないのは、「選手の疲労等を考慮した上で、実施可能な試合数の最大化」です。
すると現行の「18クラブによる2回戦総当たり」というJ1リーグの方式は、ほどよいものと言えるのです。
他の国ではどうなってる?
主なヨーロッパの国々の、トップカテゴリのクラブ数は次のようになっています。
リーグ | 国 | クラブ数 |
リーガ・エスパニョーラ | スペイン | 20 |
プレミアリーグ | イングランド | 20 |
ブンデスリーガ | ドイツ | 18 |
セリエA | イタリア | 20 |
プリメイラ・リーガ | ポルトガル | 18 |
リーグ・アン | フランス | 20 |
エールディヴィジ | オランダ | 18 |
J1リーグと同じ18か、それより多い20というところばかりです。他国と比較して、J1リーグが特に多いということはまったくありません。
人口比で考えると、むしろ少なすぎるとすら思えてきます。
国 | 人口(概算) | クラブ数 |
スペイン | 4,650万人 | 20 |
イングランド | 5,300万人 | 20 |
ドイツ | 8,300万人 | 18 |
イタリア | 6,040万人 | 20 |
ポルトガル | 1,060万人 | 18 |
フランス | 6,280万人 | 20 |
オランダ | 1,650万人 | 18 |
日本 | 1億2700万人 | 18 |
日本の半分以下の人口の、スペイン、イングランド、イタリア、フランスは20クラブですからね。10分の1にも満たないポルトガルでも、クラブ数はJ1と同じです。
まあ、人口とトップカテゴリのクラブ数の比較はあまり意味がないかもしれませんが……
まとめ:J1リーグのクラブ数は、決して多過ぎるということはない
今回は試合数の観点から、J1リーグのクラブ数について考えてみました。
試合数は多ければ多いほどいい。しかし選手にも疲労があるから、限界がある。では最適なのはどのくらい? という風に考えていくと、現行の18クラブによる2回戦総当たりという方式は、理に適っているように思えます。
2005年から、現行の18クラブ体制を続けているJ1リーグ。ぜひ、このままの体制を続けていってもらいたいものです。
今回は、以上です。