薄いクリーム色のシンプルな表紙が印象的な、「MDノート」。
表紙に帯が巻かれ、透明なフィルムでパッケージされているのを、文具店などで目にしたことがある方も多いのではないかと思います。
このノート、実は高級ノートに興味を持ち始めると、一度は必ず手を出してみたくなるノートだったりします。
今回は、そんなMDノートについて、ご紹介していきます。
MDノートとは
「ミドリ」ブランドのノート
MDノートを、作っているのは株式会社デザインフィルという日本の文具メーカーです。
元々は「株式会社ミドリ」という名前の会社だったのですが、2007年に社名変更しました。
元の社名である「ミドリ」は、現在はデザインフィルによる文房具ブランドの一つになっています。
MDノートも、この「ミドリ」ブランドの製品です。
ちなみに、革製のカバーが印象的な「トラベラーズノート」も、このデザインフィルの製品だったりします。
こちらは「トラベラーズカンパニー」という、「ミドリ」とは別のブランドになっています。
紙へのこだわり
MDノートの特徴は、「MD用紙」という自社開発の紙が使われているところ。
デザインフィルはこのMD用紙を、1960年代から自社開発しています。
紙に対するこだわりがうかがえますね。
MD用紙には、
- MD用紙
- MD用紙クリーム
- MD用紙コットン
という3種類があって、このうち「MDノート」には「MD用紙クリーム」が使われています。
MDノートの3つの魅力
MDノートには、次の3つの大きな魅力があります。
- 「MD用紙」
- 糸かがり製本
- リーズナブル
MDノートの魅力 その1:MD用紙
MDノートの魅力、1つ目は自社開発の「MD用紙」です。
固めでつるつるした手触りのMD用紙クリームには、裏抜けの心配がほぼありません。
書き心地も、上々です。
ただ、表面がかなり滑らかなので、万年筆だとペン先がやや滑り過ぎてしまう印象も受けます。
このあたりは人によって、好き嫌いが分かれるところかもしれません。
個人的には、水性ボールペンとの相性が一番いいような気がしています。
三菱鉛筆の「UNI ゲルインクボールペン シグノ 0.5㎜」なんかをよく使っています。
MDノート コットン
MDノートには、「MD用紙コットン」を使用した「MDノート コットン」という製品もあります。
MD用紙コットンは、MD用紙クリームよりもインクの染み方が良く、万年筆との相性が抜群だと個人的には感じています。
ただ、残念なことに「MDノート コットン」には、罫線のあるものがないんですよね。
「MDノート コットン」に横罫や方眼があると、さらにうれしいのですが……
MDノートの魅力 その2:糸かがり製本
MDノートの魅力、2つ目は「糸かがり製本」です。
糸かがり製本とは、その名の通り本の背を糸でかがっていく製本方法のことで、手間とコストがかかる代わりに、丈夫な仕上がりになることが特徴です。
ノートにとって糸かがり製本がうれしいのは、ページを180度しっかり開いた状態にしておけること。
これができるかできないかで、書きやすさがかなり違ってきてしまうんですよね。
その点、MDノートは、どのページもしっかりと平坦に開くことができます。
地味に聞こえるかもしれませんが、ノートにとっては実は結構重要な要素の一つだったりします。
MDノートの魅力 その3:リーズナブル
3つ目の魅力は、MDノートが「リーズナブル」であるというところ。
これについては、他の高級ノートと比較をした、以下の表を見ていただければ明らかと思います。
ノート | ページ数 | 定価(税込) | ページ単価 |
ウェブノートブック(ロディア) | 192 | 2,640円 | 13.8円 |
モレスキン | 240 | 3,190円 | 13.3円 |
ロイヒトトゥルム | 249 | 3,190円 | 12.8円 |
プレミアムCDノート | 192 | 990円 | 5.2円 |
MDノート | 176 | 880円 | 5円 |
ノーブルノート | 200 | 990円 | 4.95円 |
比較対象のサイズは、A5。モレスキンのみ、A5が存在しないので「ラージサイズ」での比較としています。
上の3つがページ単価10円を超えているのに対して、下の3つはその半分以下。
高級ノートの中では、リーズナブルですよね。
一度は必ず手を出してみたくなる理由
そしてこの「リーズナブルさ」こそが、一度は必ず手を出してみたくなる理由だったりします。
「高級ノート」は、名前の通り値が張りますからね。
一冊だけならともかく、
と考えると、どうしても価格が気になってきます。
そこで目に止まるのが、MDノートを含むページ単価低めの高級ノートです。
ただその品質は、決してノートに決してひけを取るものではありません。
そこで、
という人にとって、一度は試してみたくなるノートになるというわけです。
もちろん、MDノートが気に入って、そのまま使い続けるという人もいます。
カバーが選べるMDノート
表紙にカバーが付いていない、というのも、MDノートの大きな特徴の一つです。
購入したばかりの、真新しいノートに巻かれているのはパラフィン紙だけ。
昔の岩波文庫のような雰囲気で、これをそのまま使うこともできるのですが、携帯するにはちょっと頼りないような感じがします。
そこでMDノートは、別売りで3種類のカバーが用意されています。
- 本革 ゴートヌメ カバー
- 紙カバー
- 透明カバー
MDノートカバー その1:本革 ゴートヌメ カバー
「本革 ゴートヌメ カバー 」は、文字通りゴート革で作られたカバーです。
ヌメ革製ということもあって、経変変化によって味が出てくることができるカバーですが、以下の通り価格もそれなりです。
「1冊1カバー」ではなく、使い回しはできそうなので、財布に余裕がある方、もしくは
と決めた方向けかもしれません。
MDノートカバー その2:紙カバー
紙カバーで使用されているのは、「コルドバ」という紙。
革製品で有名なスペインの都市名が付けられた紙で、紙でありながら、紙とは思えない独特のぬめり感が特徴です。
また、紙製であるため、軽いのもうれしいところ。
本革 ゴートヌメ カバー に比べると、ずっとリーズナブルでもあります。
MDノートカバー その3:透明カバー
透明カバーは、ビニール製のシンプルな透明なカバーです。
汚れと傷みを防止する、最低限のカバーといった印象ですが、MDノートカバーの中で最もリーズナブルなカバーでもあります。
ただ、こちらの透明カバーは傷みやすく、変色もするので使い回しは難しいです。
1冊1カバーというつもりで使用するのが良いでしょう。
MDノートのラインアップ
MDノートのラインアップは、次のようになっています。
MDノートのサイズは、「文庫」や「新書」といった、本を意識したものになっています。
これは、使い終わった後に書棚に並べることを意識しているためです。
一方、中身はオーソドックスな
- 無罫
- 横罫
- 方眼
の3種類となっているので、用途や好みに応じて選ぶことができます(A4変型判以外)。
MDノートはコスパのいいノート
本記事では、MDノートとその魅力について紹介しました。
リーズナブルでありながら、品質も高いのがMDノートの大きな魅力。
お気に入りのカバーを付けると、さらに愛着が湧いてくると思いますよ。
今回は、以上です。