こんにちは、早起きラガードです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
- 2つの大会の、3つの違い
- 2つの大会の、3つの似たところ
- ワールドカップとオリンピック、どちらが格上か?
詳しく、見ていきます。
オリンピックとワールドカップの違い【女子サッカー】
オリンピックとワールドカップ。
そもそもが違う大会なので、細かいところまで挙げていけば、違いは無数にあります。
しかし、それではキリがなくなってしまうので、本記事では次の3点に絞って、違いを取り上げます。
- 本大会の出場国数
- 登録できる選手の人数
- 「英国4協会」の扱い
出場国数はワールドカップの方が多い
オリンピックと女子ワールドカップ、2つの世界大会の1つ目の違いは出場国数です。
2つの大会における、本大会出場国数は次の通り。
大会 | 出場国数 |
オリンピック | 12 |
ワールドカップ | 24 |
ワールドカップは、オリンピックの2倍。
しかもこのデータは2019年女子ワールドカップフランス大会のもので、日本も開催地に立候補している次の2023年大会からは、32に拡大することが決定しています(オリンピックの数字は、2020東京大会のものを使用)。
出場国数32というと現行の男子ワールドカップと同じです。
かなり規模の大きな大会になることが、予想されますね。
なお、男子は2026年大会から、出場国数を48に拡大することが決まっています。
各地域の、オリンピックとワールドカップの出場枠
本大会出場国数では、ワールドカップがオリンピックの2倍(将来はそれ以上)であることをご紹介しました。
次に、その出場枠が各地域にどのように割り振られているのか、についてご紹介します。
具体的には、次の通り。
地域 | 五輪 | W杯 |
アジア | 2+1 | 5 |
アフリカ | 1.5 | 3 |
北中米カリブ海 | 2 | 3.5 |
南米 | 1.5 | 2.5 |
オセアニア | 2 | 1 |
ヨーロッパ | 3 | 8+1 |
+1は開催国枠です。
数字は、ここでもやはり、
- 2019女子ワールドカップ フランス大会
- 2020東京オリンピック
のものを使用しています(そのため、それぞれの地域が+1されています)。
特徴的なのは、ワールドカップにおけるアジアとヨーロッパの出場枠の多さですね。
ワールドカップの出場国数はオリンピックの2倍ですが、両地域の出場枠のオリンピック比は2倍にとどまりません。
地域 | オリンピックを1とした場合 |
アジア | 2.5 |
アフリカ | 2 |
北中米カリブ海 | 1.75 |
南米 | 1.67 |
オセアニア | 1 |
ヨーロッパ | 2.67 |
上記の通り。アジアとヨーロッパだけが、オリンピックの2倍を超える枠を与えられています。
このあたりに、両大会の考え方の違いが現れていると言っていいのかもしれません。
登録選手数もワールドカップの方が多い
オリンピックと女子ワールドカップの違いその2は、登録選手数です。
登録選手とは、簡単に言うとベンチに入れる選手のことで、これもオリンピックとワールドカップで違っています。
大会 | 登録選手数 |
オリンピック | 18人 |
ワールドカップ | 23人 |
上記の通り。
登録選手数は、ワールドカップの方が5人多いです。
これは、ワールドカップを戦ったチームで、そのままオリンピックに出場することはできないことを意味します。
ワールドカップメンバーから、5人をチームから外さなければならないのがオリンピック。
出場国数も少ないですが、ベンチに入れる選手も少ない。
オリンピックは、女子サッカー選手にとって極めて狭き門なのです
オリンピックとワールドカップでは、「英国4協会」の扱いが違う
オリンピックとワールドカップの違いその3は、「英国4協会」の扱いです。
「英国4協会」とは、次の4つのサッカー協会のことを指します。
- イングランドサッカー協会
- ウェールズサッカー協会
- スコットランドサッカー協会
- 北アイルランドサッカー協会
サッカーでは、他の競技同様基本は「1国1協会」なのですが、イギリスに関しては歴史的経緯から上記4協会の存在が認められています。
そしてワールドカップでは、この4協会がそれぞれ個別に編成した代表チーム出場させることができます。
何を言っているかというと、
ワールドカップには「イングランド代表」や「スコットランド代表」がに出場できる
ということです。
一方、オリンピックではそうした個別の代表は認められていません。
出場が認められているのは、「イギリス代表」のみ。
すなわち、イングランドやスコットランドの選手がオリンピックに出場するには、「イギリス代表」が編成されなければならないのです。
「イギリス代表」の出場実績は、2012年ロンドンオリンピックのみ
理屈はそうなのですが、事実はそう単純ではありません。
1996年に女子サッカーがオリンピックの正式種目として認められて以降、2016年リオデジャネイロオリンピックまでの間に、イギリス女子代表はたったの1回しか編成されませんでした。
自国開催となった、2012年ロンドンオリンピックのときだけです。
イングランドサッカー協会は、それ以前の大会から編成を呼び掛けていたのですが、他の3協会から拒否された、という事情があります。
2020年東京オリンピックには、イギリス女子代表が出場
2016年リオ大会では編成が見送られたイギリス女子代表ですが、2020年東京オリンピックでは再び編成されることが決定。
既に出場権も獲得しており、2020年東京大会では、イギリス女子代表が史上2度目のオリンピック出場を果たすことになっています。
オリンピックとワールドカップの共通点【女子サッカー】
ここまで、オリンピックとワールドカップの違いについて紹介してきました。
ここからは、2つの大会の似たところ、共通したところについて紹介していきます。
主なところでは、次の3つとなります。
- 年齢制限がない
- 大会方式
- 他の大会が、予選を兼ねている
女子サッカーは、オリンピックにもA代表が出場可能
男子の場合、オリンピックのサッカーに23歳以下という年齢制限があることを聞いたことがある方も多いと思います(24歳以上の選手は、3人まで出場可能)。
女子サッカーの場合、オリンピックにそうした年齢制限はありません。
オリンピックであっても、A代表(年齢制限のない代表)が出場可能です。
ワールドカップについては、男子、女子ともに年齢制限はありません。
すなわち、女子の場合は、
オリンピック、ワールドカップもいずれも年齢制限がない(A代表が出場可能な)大会
となります。
※関連記事です。
https://earlylaggard.com/olmpic-world-cup-men
他の大会が、予選を兼ねることが多い
オリンピック、ワールドカップの似通っている点の2つ目は、「他の大会が予選を兼ねることが多い」です。
ワールドカップの場合
まずは、ワールドカップの場合。各地域の予選は、次のようになっています。
地域 | 予選 |
アジア | アジアカップ |
アフリカ | ネイションズカップ |
北中米カリブ海 | ゴールドカップ |
南米 | コパ・アメリカ |
オセアニア | ネイションズカップ |
ヨーロッパ | ワールドカップ予選 |
データはこれまで通り、2019年女子ワールドカップのものです。
ヨーロッパ以外の各地域の大会は、すべて大陸選手権です。
つまりワールドカップの場合、
- 専用の予選を開催するのは、ヨーロッパのみ
- 他の5地域は、大陸選手権が予選を兼ねている
ということになります。
オリンピックの場合
続いて、オリンピックの場合。データは、2020年東京大会のものになります。
地域 | 予選 |
アジア | オリンピック予選 |
アフリカ | オリンピック予選 |
北中米カリブ海 | オリンピック予選 |
南米 | コパ・アメリカ |
オセアニア | ネイションズカップ |
ヨーロッパ | ワールドカップ |
こちらの方が専用の予選を開催する地域が多いですが、それでも半数は他の大会が予選を兼ねています。
ここで注目なのは、ヨーロッパですね。
何と、ワールドカップがオリンピックの予選を兼ねてしまっています。
これはちょっと珍しいケースです。
男子の場合、ワールドカップが最も格の高い大会になりますので、ワールドカップが何かの大会の予選を兼ねる、ということはまずありえません。
しかし女子の場合は、そうはなっていないのです。
これの意味するところは…… まあ、明らかですよね。
大会方式は、オリンピック、ワールドカップほぼ同じ
オリンピックとワールドカップ、3つ目の似ている点は本大会の方式です。
どちらも、サッカーの大会ではよく見られる、
- 1回戦総当たり方式のグループリーグ
- ノックアウト方式の決勝トーナメント
の併用です。
オリンピック
- 出場12ヶ国を、4チームずつ3つのグループに分けてリーグ戦
- グループ上位2チームと、3位のうち上位2チームが決勝トーナメントに進出
ワールドカップ
- 出場24ヶ国を、4チームずつ6つのグループに分けてリーグ戦
- グループ上位2チームと、3位のうち上位4ヶ国が決勝トーナメントに進出
決勝トーナメントは、
- オリンピック:8チーム
- ワールドカップ:16チーム
で争われます。
どちらもスタンダードな方式、と考えておいて、いいと思います。
女子サッカーでは、オリンピックの方が格上
まとめます。
ワールドカップとオリンピックの違い(女子サッカー)
- 出場国数は、ワールドカップの方が多い
- 登録人数も、ワールドカップの方が多い
- オリンピックに「イングランド代表」は出場できない
ワールドカップとオリンピックの似ているところ(女子サッカー)
- どちらもA代表が出場可能
- 他の大会が予選を兼ねるケースが多い
- 本大会はグループリーグとトーナメントの併用
どちらもA代表(年齢制限のない代表)が出場可能な大会であるだけに、男子の場合と比較してどちらが格上なのか見分けにくいところが、女子サッカーにはあります。
サッカーファンの間でよく言われているのは、女子の場合は
ワールドカップ < オリンピック
ヨーロッパがワールドカップを予選にしていることも、そこに理由があると思われます。
今回は、以上です。