Jリーグ

A契約って何のこと? 違いは「報酬」にあります【Jリーグ】

こんにちは、早起きラガードです。

この間、Jリーグの若手選手がA契約の条件を満たしたって話を聞いたけど、一体何が変わるんだろう? そもそもJリーグのA契約って何のことだっけ?

今回は、こんな疑問にお答えします。

JリーグにはA契約からC契約まである

Jリーグの契約には、

  • プロA契約
  • プロB契約
  • プロC契約

という区分が存在します。

これらはJリーグ独自のもので、欧州主要国には存在しません。

A、B、C各契約の一番の違いは報酬です。

契約の違いによって、最低年俸があったり、報酬に上限が設けられていたりするのです。

プロA契約

プロA契約の主な内容は、次の通りとなっています。

項目 内容
年俸 ・最低460万円
・原則上限はなし
人数 ・原則各クラブ25名まで
条件 次のどちらかを満たす必要あり
・規定の出場時間を達成
・プロC契約から3年経過

プロA契約の一番の特徴は、年俸に上限がないことです。

年俸460万円以上なら、原則どんな高額で契約してもOK。

ただ、各クラブ原則25名まで、という人数制限があります。

ですから、A契約の選手を無制限に増やす、ということはできません。

また、締結には条件があるため、誰もがすぐにプロA契約を結べるわけではありません。

「規定の出場時間」はクラブの所属するカテゴリによって異なっており、具体的には、

  • J1      :   450分
  • J2      :   900分
  • J3、JFL : 1,350分

となっています。

試合数に換算すると

  • J1      :  5試合分
  • J2      : 10試合分
  • J3、JFL : 15試合分

に相当します(いずれもフル出場した場合)。

※なお、年俸、人数はあくまで原則です。例外も存在するのですが、それについては後ほど紹介します。

プロB契約

プロB契約の主な内容は、次の通り。

項目 内容
年俸 ・上限460万円
人数 ・制限なし
条件 次のどちらかを満たす必要あり
・規定の試合出場時間を達成
・プロC契約から3年経過
※A契約と同じ

プロB契約を結んでいるのは、A契約の条件を満たしているのに、A契約を締結していない選手です。

実は、この契約体系は、

A契約 → B契約 → C契約

というように順を追う必要はなく、

C契約 → A契約

という飛び級(?)が可能です。

ただ、A契約には既に書いた通り原則25名という人数制限があるので、条件を満たした選手すべてとA契約を結ぶわけにはいきません。

そこでA契約とC契約の間に、B契約なるものが存在するのです。

A契約とB契約の一番の違いは、年俸に460万円という上限があること。

この460万円/年という金額は、次で紹介するC契約と同額に設定されています。

プロC契約

プロC契約の主な内容は、次の通りです。

項目 内容
年俸 ・上限460万円
人数 ・制限なし
条件 ・3年を超えて締結はできない

プロC契約は、アマチュアからJリーガーになったほとんどの選手が最初に結ぶ契約です。

初めて結ぶ場合には、A契約やB契約のような条件はありません。誰でも、無条件で結ぶことができます。

C契約の場合、障壁となるのは契約可能な期間。

締結できるのが、初めてC契約を結んでから3年と決まっているのです。

3年を超えて契約を結ぶ場合には、A契約かB契約に移行する必要があります。

A契約との大きな違いは、B契約と同じで年俸に460万円という上限があることです。

Jリーグの場合、ほとんどの選手は、プロになっていきなり高額の年俸をもらう、ということができなくなっています。

プロA契約について、もっと詳しく

ここまで、プロA契約、プロB契約、プロC契約がそれぞれどんな契約なのか、について紹介してきました。

ここからは、プロA契約についてもう少し細かく見ていこうと思います。

A契約でも年俸に上限が設けられているケースあり

プロA契約の最大の特徴は、年俸に上限がないことです。そこがB契約やC契約との、一番の違いでした。

ところが、A契約にも年俸に上限が設定されているケースが存在するのです。

それは、初めてA契約を締結する年です。

この年だけは、A契約であっても年俸は670万円が上限と決められています。

A契約の年俸に上限がないことを「原則」と書いたのは、このためです。

A契約2年目以降は、この上限は撤廃されます。

リーグ戦以外にもカウント対象の試合がある

プロA契約締結の条件の一つに、「規定の試合出場時間を達成」というものがありました。

カテゴリごとに違いがあった、これですね。

  • J1      : 450分
  • J2      : 900分
  • J3、JFL : 1,350分
これって、どの試合が対象なんだろう? 何でもいいってわけじゃないよね…

もちろん、対象の試合ととそうでない試合はあります。

具体的には、次の通り。

大会 J1 J2 J3・JFL
リーグ
リーグカップ
天皇杯
スーパーカップ

リーグ、リーグカップ、天皇杯については、ほとんどの方が想像できたんじゃないかと思います。

この3つは、国内3大タイトルですからね。ここが外れるというのはないでしょう。

これに加えて、スーパーカップというのは、ゼロックススーパーカップのことです。

あれ、J2とJ3・JFLにもスーパーカップ?

と思われた方もいるかもしれませんが、ゼロックススーパーカップは

J1王者 vs 天皇杯覇者

の対戦ですので、天皇杯に出場可能なJ2やJ3・JFLクラブが出場する可能性は十分あります。

国際試合はJ1扱い

この他に、クラブや代表チームでの国際試合も出場時間にカウントされるものがあります。

具体的には、以下の通り。

  • 国際Aマッチ
  • オリンピック本大会
  • オリンピックの2次予選、最終予選
  • アジア大会
  • U20ワールドカップ
  • AFCチャンピオンズリーグ(ACL)
  • その他のFIFA、AFC主催の王者クラブ出場大会

これらの大会での出場時間は、J1の出場時間としてカウントされます。

ですので、例えば

  • 大学生のうちにオリンピックを目指す代表に選出
  • オリンピックの予選や本大会で5試合以上フル出場

という選手は、プロでの出場経験がなくてもいきなりA契約を結ぶことが可能です。

条件次第で「A契約25名以上」も可能

A契約には25名の人数制限がある、と紹介しました。

ですが、条件次第で25名以上A契約選手を抱えることも可能です。

具体的には、次の3つのケースが該当します。

  1. ACL出場クラブ
  2. 年度途中にC契約からA契約に移行した選手
  3. 自クラブのアカデミーに3年以上在籍した選手

1つ目のACL出場クラブについては、当該年度に限ってA契約選手を27人まで抱えることが認められています。

これについては、過酷なACLを戦うための特例措置と考えればいいでしょう。

2つ目の年度途中にC契約→A契約に移行した選手も、その年度に関しては25名の枠から除外しても良いことになっています。

ただ、B契約→A契約の場合は、25名枠にカウントされてしまいます。

3つ目、アカデミーというのはジュニアユースやユースのことです。

つまり、「自分のクラブで育成した選手については、25名の枠から除外しても良いですよ」ということですね。

自クラブでの選手育成は欧州のサッカー界などで推奨されており、Jリーグのこの規定もそうした流れに沿ったものと言えると思います。

外国人選手も「25名枠」に含まれる

外国人選手の場合、本記事で紹介しているプロA契約~プロC契約に当てはまらないケースも存在します。

が、だからといって特別扱いにはなりません。

そうした場合でも、扱いは基本的に「プロA契約」。つまり、外国人選手も25名枠に含まれます。

ただ、外国人選手をかならずA契約相当にしなければならないわけではありません。

条件さえ合えば、外国人選手とプロC契約を結ぶことも可能です。

A契約、B契約、C契約はクラブ経営の安定化が目的

既にお気づきの方もいるかと思いますが、これまで紹介してきたA契約、B契約、C契約という種別は、新人の年俸制限を目的としたものです。

このような規約ができたのは、1999年。

Jリーグバブルが終わり、親会社の業績不振によって横浜フリューゲルスが消滅した年でした。

規約がなかった時代には、プロ一年目の選手に年俸2,000万円や3,000万円といった金額が提示されることもあったようです。

でも、年俸というのは選手の活躍次第で上がっていくものですから、そんなに高額でスタートしていては、そのうちとんでもない金額になってしまうことが予想されますよね。

事実、選手の年俸高騰は、当時のクラブ経営を圧迫していた一因でもありました。

そこで将来的な年俸の高騰も避け、クラブ経営を安定させるために、入り口から年俸を抑えよう、ということでこのような規約が設けられました。

B契約やC契約に上限だけがある(加減は特に設定されていない)というのも、元々のそうした事情があったものと思われます。

まとめ:A契約になると、年俸の上限がなくなるのがJリーグ

 

A契約と、B、C契約の違いは、報酬に上限があるか、ないか。

その導入の目的は、「年俸の高騰を入り口から抑えること」でした。

ただ、これはJリーグ独自の規約であり、海外では、基本的に新人の年俸抑制の仕組みはありません。

そのため、高額年俸を条件とした、海外クラブによる若い日本人選手の引き抜きも発生しています。

契約方式にも、時代に応じた見直しが必要になるのかもしれません。

今回は、以上です。