こんにちは、早起きラガードです。
Jリーグは、降格制度がなかった時代から見続けています。
J1が現在の18クラブになった2005年から、各年の15位、16位、17位について、調べています。
今回は、その9回目。取り上げるのは2013年です。
前回、2012年はこちら。
2013年のJ1 15位から17位のクラブには、次のような特徴がありました。
- 15位 8連敗を喫しながらも、それ以外の期間で勝ち点を稼ぎ残留を確保
- 16位 細かい連敗多数、それ以外の期間でも勝ち点を稼げずに降格
- 17位 好調期以外のわずかな差で、17位に甘んじる
詳しく見ていきます。
2013年のJ1残留争い
レギュレーション
16位 | 自動降格 |
---|---|
17位 | 自動降格 |
18位 | 自動降格 |
降格にかかわるレギュレーションに、前年からの変更はありませんでした。
15位までが残留。16位、17位、18位が自動で降格となります。
※当時のレギュレーションでは違いのない16位、17位ですが、現在は違います(16位はJ1参入プレーオフに参加。17位は自動降格)。
したがって、本記事でも、16位と17位には差があるものとして扱います。
2013年J1の結果
順位 | クラブ | 勝ち点 |
15位 | 甲府 | 37 |
16位 | 湘南 | 25 |
17位 | 磐田 | 23 |
この年は15位と16位の差が大きく、16位と17位の差は小さいシーズンでした。
磐田のJ2降格は、1994年のJリーグ加盟以来初めてとなります。
残留に成功したクラブ・失敗したクラブの状況は?
15位甲府
21試合目に15位に落ちてから、最後までその順位から動かなかったこの年の甲府。
それ以前から15位前後をうろうろしていましたが、それ以上に目を引くのは勝ち点がまったく伸びていない、10試合目から18試合目までの期間です。
11試合目から18試合目まで、甲府は何と8連敗を喫していました。
残留に成功したクラブとしては、珍しいケースです。
これ以前のシーズンで似たような例は、2008年の千葉。このときは、5試合目から11試合目までの7連敗でした。
2008年の千葉は、後半に巻き返して残留を確保しています。
この年も甲府も似たようなケースなのかと思ったのですが、どうもそういう訳でもなさそうでした。
確かに、後半の方が多くの勝ち点を獲得してはいるのですが、驚くほど多い、というほどではありません。
注目すべきはむしろ前半17試合の方で、8連敗のうち7敗までがこの期間でありながら、勝ち点14を獲得できています。
これが意味するところは、「8連敗以外の期間ではしっかり勝ち点を稼げた」ということ。
そしてこれは前半17試合だけに留まらず、シーズン全体に共通しています。
8連敗以外に喫した連敗は、序盤の2連敗だけ。他に連敗はありません。
そもそも敗戦自体が少なく、2連敗1回、8連敗1回を除くと、敗れたのは3試合だけです。
それ以外の試合では、確実に勝ち点1以上を獲得できている。
しかも、「稼げるときにしっかり稼ぐ」という残留に必須の条件も、しっかり満たしています。
勝ち点9以上の高い柱が、しっかり2本そびえていますね。
これらの事実から見えてくる2013年の甲府は、「8連敗は喫したものの、元々はしっかり勝ち点を稼ぐことのできるクラブ」。
長期の連敗は実力不足から来たものではなく、一時のつまずきに過ぎませんでした。
16位湘南
2013年の湘南は、4試合目から早々に16位前後をうろつき始め、そこから脱することのないままシーズンを終えています。
5試合ごとの勝ち点も、終始低調。
高い柱は一本もなく、「稼げるときにしっかり稼いだ」期間がありません。
このグラフで目を引くのは、31-34試合の更地ですね。
終盤4試合で勝ち点0。
実際には、その少し前の29試合目から連敗は始まっており、34試合目までの間に6連敗を喫しました。
15位甲府の8連敗には及びませんが、これもなかなかの長期です。
ただ、甲府と違って湘南は、短い連敗をいくつも喫していました。
- 2連敗:3回
- 3連敗:1回
甲府は、8連敗を除くと2連敗が一度だけですから、随分違います。
敗戦数も、15位甲府とは大きな差があります。
- 甲府 8勝13分13敗
- 湘南 6勝7分21敗
甲府より、8試合も多く負けていますからね。
これだけ負けが多いと、さすがに勝ち点は伸びません。
敗戦は勝ち点0ですから、当然ながら、リーグ前半、後半どちらも稼いだ勝ち点は少ない。
後半17試合は、6連敗があった割には勝ち点を稼げた方かもしれません。
しかし、6連敗があっても残留を勝ち取る、というのであれば、前半にもっと勝ち点を獲得しておく必要があったでしょう。
以上の結果から見えてくる2013年の湘南は、6連敗を喫し、それ以外の期間も勝ち点を稼げなかったクラブ。
15位甲府との勝ち点12差が、自然に思えてしまう結果となりました。
17位磐田
17位磐田の順位の動きは、16位湘南と似ています。
5試合目から17位前後をうろうろし始め、そのまま浮上することなくシーズン終了まで下位を突っ走っている。
後半17試合は、上りも下がりもせず17位をキープし続けています。
終盤に長い連敗を喫しているところも、似ているかもしれません。
29試合目から33試合目まで、5連敗。
負けは湘南より一つ少なく、最後は自力で連敗を脱出しました。
このあたりは、過去3度リーグ優勝を経験しているかつての強豪クラブの、意地と言ってもいいのかもしれません。
短い連敗が多いのも湘南と同じです。
- 2連敗:3回
- 3連敗:2回
5連敗以外の期間で稼いだ勝ち点が少ないのも、共通しています。
大きな柱はなく、「稼げるときに稼ぐ」こともできていない。
湘南や15位甲府と違って更地はありませんが、勝ち点2以下の期間が3回もあります。
ここが湘南とのわずかな違いで、一度だけあった更地の期間を除くと、湘南はどの期間でも勝ち点3以上を獲得できている。
一方、高めの勝ち点を稼いだ期間は、勝ち点6が1回、勝ち点5が1回と、両クラブに違いはありません。
16位湘南と、17位磐田の勝ち点差は2。
その差をもたらしたのは、「決して好調とは言えない期間に稼いだ勝ち点のわずかな違い」でした。
2013年の磐田は、好調期以外のわずかな差で、17位に甘んじたクラブでした。
まとめ:長期の連敗は、必ずしも致命傷にはならない
2013年のJ1 15位、16位、17位には次のような特徴がありました。
- 15位 甲府 8連敗を喫しながらも、それ以外の期間で勝ち点を稼ぎ残留を確保
- 16位 湘南 細かい連敗多数、それ以外の期間でも勝ち点を稼げずに降格
- 17位 磐田 好調期以外のわずかな差で、17位に甘んじる
また、この年には長い連敗を喫したクラブほど順位が上という、少し変わった傾向もありました。
- 甲府 8連敗
- 湘南 6連敗
- 磐田 5連敗
目を引くのはやはり、甲府の8連敗。
それでも甲府は15位で、残留には成功しています。
長期の連敗は、必ずしも残留の致命傷にはならない。この年の甲府が、よくそれを教えてくれています。
今回は、以上です。